33.side彩 ページ34
私はいつの間にか手を胸の前で握っていて、話し終わってからはっとした。
自分の気持ちを押さえられなくて、ついいろいろ言ってしまったことに後悔した。
ばれちゃうかもしれないって思ったとき、若武があーっ、と声を上げた。
若「アーヤ、もしかして好きな人がいるのか！？」
私は恥ずかしくて、顔を真っ赤にしながら否定した。
彩「い、いないよっ、いない、いない、そんなのいるわけなぃ･･･」
でもどんどん声が小さくなっちゃって、最後は、俯いて黙っていた。
若「マジかっ！誰だよ！？」
小「え、アーヤ、好きな子いるの？」
上「驚いたな。」
皆の言葉を必死に無視する私の横で、黒木君が意地悪そうにクスクス笑っていた。
その日は眠れなかった。部屋が同じ若武と、ずっと電気をつけたまま
若「誰だよ！」
彩「教えないっ！」
の繰り返しで、気づけば朝になっていた。２人ともふらふらで、
最近ずーっと寝られていない私は、翌日、ぼーっとしっぱなしだった。
そんな日が続き、ついに合宿最後の日になった。
色々なことがあって、特になにもできなかった２週間だったけど、
すごく楽しい合宿だった。
家に帰ると、まず、奈子が飛びついてきた。
奈「お姉ちゃん、お帰りなさい！」
彩「ただいま！」
母「あら、お帰り。」
手を拭きながらキッチンから出てきたお母さんにビクッとしてしまう。
すっかり忘れていたけど、お母さんは昔、私に攻撃的な虐待をしていたってことだよね。
でも、私自身暴力を振るわれた覚えがないってことは、
それ以来虐待はなかったってことだから、大丈夫か。
少し安心してお母さんにもただいまを言った。
やっぱり、家が一番落ち着くな、と思いながら、その日は久しぶりに、
自分のベッドで熟睡する事ができた。
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作者名：彩芽 | 作成日時：2016年12月16日 7時
