20.side彩 ページ21
お手洗い場に行ってため息をつく。
少し落ち着くまでそこにいることにした。
何度か深呼吸をして落ち着いてくると、なんでこんなに緊張してるんだろう、私?と思った。
首を傾げながらお手洗い場を出て、レジャーシートに向かった。・・・つもりだった。
でも歩いても歩いても上杉君が見当たらなくて、そして気づいた。・・・私、迷子になっちゃった!?
オロオロしていたら、追い討ちをかけるように、高校生くらいの2人組の男の人に声をかけられた。
男「ねぇねぇ、君、1人?」
彩「えっ、イヤ、その・・・」
男「てか可愛いじゃん!俺らと遊ぼうよ!」
そういうと男の人は、私の手を強引に掴んで引っ張った。
私が必死で抵抗しても、全然かなわない。
誰か・・・誰か助けて・・・皆・・・!
そう思ったとき、誰かが男の人の手をつかんだ。
男「ア?テメェだれだよ
男の人が言い終わらないうちに誰かは、男の人のお腹を膝蹴りした。
男の人がお腹を押さえて前のめりに倒れる。私の腕からも手が離れた。
放された腕を誰かが引っ張って、背中の後ろによせた。
これ、前にもあったよね?あなたは・・・
?「大丈夫か?立花っ!」
彩「上杉君!」
上「下がってろ。」
そういって上杉君は、自分より大きい男の人2人を相手に、激しいバトルを見せた。
周りには元々人がいなかったのが幸いだったと思うくらい。
でも、上杉君は相手の攻撃を一切受けずに2人を倒してしまった。
男「ちっ、覚えてろよ?」
そういって男の人達は、尻尾を巻いた犬のように小さくなって走っていった。
下を向いて息を切らす上杉君に、恐る恐る声をかけた。
彩「あの・・・
上「バカかお前は!なにやってんだよっ!」
彩「えと、お手洗い場から出て帰るつもりがここにきちゃって・・・
上「こんなところにいる訳ないだろっ!
人1人いねーじゃんかっ!」
彩「ごめんなさい・・・!」
私は俯いた。だんだん目に涙がたまり始める。
私が悪いんだから泣いちゃだめ。泣いたらだめだよ・・・っ
そう思って必死にこらえていたら、上杉君が私を抱きしめた。
上「無事でよかった・・・っ!」
それでもますます涙が出てきて、おさえられなくなった。
静かに泣き始める私の背中に回った手の力が少しだけ強くなる。
上「怖かっただろ?・・・・・・もう大丈夫だよ。」
そういわれた瞬間、私の中で何かがはじけた。
『もう大丈夫だよ』
その言葉だけが頭に響いていた。
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作者名:彩芽 | 作成日時:2016年12月16日 7時