15.貴和の心 ページ16
俺が初めてアーヤに会ったとき、この子、一人なんだって思った。
俺は色んな年代の、色んな人と関わっているうちに、
その人の表情を見れば、相手が今どんな状況に置かれているのか、
だいたいわかるようになった。
その中で、俺的に一番わかりやすいのが、その人が一人ぼっちな状況におかれているとき。
好んで一人でいる人もいるけど、アーヤは一人なんだってわかった。
家族からの扱いも、言い訳じゃないんだってことまで。
虐待じゃないけど、あまりほめられたことがないのだろう。
でも、目が曇っていた。俺と同じなのかもしれないって思った。
俺が今一緒に暮らしている家族は、本当の家族じゃない。
だから家族(仮)の前で、本気で笑ったことがないんだ。
アーヤもそんな感じがした。さすがに家族は本当の家族だとは思っていたけどね。
それからしばらくして、ふと気づくと、
アーヤの瞳は輝いていた。あぁ、幸せになれたんだね、アーヤ。
そんな時、俺はアーヤに、『恋』という感情を持った。
あぁ、持ってはいけないってわかってたはずなのに。
俺は、自分の感情を殺した。
そんな感情を持っても、アーヤを苦しませるだけだって、わかってるから。
ーーアーヤは仲間を望むからーー
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作者名:彩芽 | 作成日時:2016年12月16日 7時