14.side彩 ページ15
?「・・・ヤ、アーヤ!」
誰かが私の名前を呼んでいる。
ゆっくりと目を開けると、そこには若武、上杉君、黒木君、小塚君がいた。
彩「あ・・・、私あのまま寝ちゃったのか・・・。」
若「皆で心配してたんだぜ。」
彩「ごめん、少し疲れちゃって。でもたっぷり寝たからもう大丈夫!」
そういって笑って見せたのに、みんなの顔は心配そうだった。
彩「どうしたの?」
小「アーヤ・・・、何で泣いてるの・・・?」
彩「えっ、」
急いで目を拭ってみると、指先には水がついていた。
そういえばさっき見た夢の最後、すごく悲しくて、あの場から逃げてしまったんだ。
彩「カズ君・・・。」
黒「え?誰?カズ君って。」
黒木君の言葉で、はっと我に返る。皆困った顔で私を見ていた。
彩「う、ううん、何でもないの。ごめん、今何時?」
若「え、12:43だけど。」
彩「お昼食べよ?私つくるから。」
若「マジで!?」
彩「うんっ!結構得意なんだよ、お料理。」
そういって私は立ち上がった。つられて皆も立ち上がる。
ぞろぞろとメインルームに向かう。後ろからついていきながら ふぅ、とため息をつく。
それから、私が5人分のチャーハンを作って、皆でテーブルを囲んだ。
なんとなく黙って食べてしまう。カチャカチャと、
若武がスプーンを一心不乱に動かす音が響く。そんな中で、上杉君が私に聞いてきた。
上「なぁ立花、さっき何の夢見てた?」
彩「え?・・・あぁ、うーん・・・。実はね、私、自分でもよくわからないんだよね。」
そういいながらも私は、夢の内容を皆に話した。
話し終わった後、それまでチャーハンに夢中だった若武が顔を上げて言った。
若「その『カズ君』って、もしかして、俺じゃね?だって俺、和巨だぜ?」
確かに!・・・じゃあ、それなら・・・
黒「それなら俺らみんなじゃん。和典、貴和、和彦だろ?」
私ははっとした。
彩「それじゃあ、この中に、『カズ君』がいるってこと?」
一瞬静まり返った。沈黙を破ったのは若武。
若「んな訳ないか!」
小「だね。」
そう言って皆、チャーハンを食べ始めたけど、私は何かが喉に突っかかっているみたいな気がした。
ーーそんな彩のことを、彼が愛おしそうに見つめていることに、誰も気づかなかったーー
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作者名:彩芽 | 作成日時:2016年12月16日 7時