un cuoco curioso⑯ (ページ23)

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【高等部２年】688 ページ23

タ「(ﾎﾞｿｯ)一応総帥として準備を促してくれないか？」
え「何故私が…こほんっ、……さぁっ構えなさい!!」
『結局言うんじゃん…。』
仙「調理……開始!!!」

えりなの声に生徒二人はすぐに調理に入る体制に入り全員が月を見守る中月が完全に姿を現すと仙左衛門の声にすぐさま調理が始まった。

タ「というかなんでAまで来たんだ？」
『ウチの子の調理と品を見たいのとついでに堂島さんとお喋りしようかなって。』
堂「ウチの子？という事はAくんの生徒か。」
『ウチの２トップの一人です、というか…あの一角はウチの生徒ですよ。』

最下段の場所で応援用の鉢巻を撒く十数人の生徒を見付けたAは堂島に指を指しながら教えると生徒も気付いたのか両手を振って来たためAは軽く振り返す。

堂「随分慕われているようだな、やはり教育者だな。」
『まぁ皆割と聞き分け良いし向上心ある良い子達なんで。』
え「Aの講義は他の講師からも評判が良く、2・3年生も受けたいと声が上がっております。」
堂「それは凄いな、是非遠月リゾートに来ないか？」
仙「銀よ、Aは既に教育部門のトップ…故に引き抜くのはやめい。」
宗「Aがトップでなければ薙切インターナショナルに欲しかったが…残念だ。」
『いや…絶対行かないし。』

教育部門のトップでなければ観光部門と研究部門にヘッドハンティングされていたと知るとこの時ばかりは自身に肩書があって良かったと人知れず安堵した。
目の前で行われる調理を見ながら他愛もない話や調理の話をしていると先に火入れに入ったのはトルコ料理を得意とする生徒だった。

『(ｽﾝｯ)………。』
ア「どうかしたの？」
『うぅん、何でもないよ。』

トルコ料理の生徒の火入れの際に気付いた香りにAは難しそうな顔をするが何でもないといつも通りの平然とした顔で調理を眺める。

１時間以上が経過すると先に審査するのはトルコ料理の生徒だったがA達は特に口を挟まず審査を横目で見ていると仙左衛門と宗衛のおはだけが出た事で会場が湧いた。

堂「Aくんも一口どうだい？」
『いえ、私は良いです。』

正直言うとこの中で一番鼻の良いAからするとスパイスが野ウサギの風味を消し過ぎていると感じるが当の堂島達には分からないレベルだった。
月が隠れ始めるとAの生徒達は焦った顔をするが急かさず強張った顔だったが月が半分ほど隠れた時に最後の審査が行われ先程同様、二人のおはだけが出た。