初桜、折しも今日は良き日なり【ars】 (ページ41)

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クリームパン！ってニノが嬉しそうにカゴの中から一個取り出して食べる。

潤くんも「いただきます」って行儀良く手を合わせてから、パンを取った。

「お二人さん、何の話してたの？」

ニノが翔ちゃんの顔を覗き込む。

「...何でも無いよ？」
「嘘つけーっ！『あります！ちょー何かあります！』って顔してんだろー！」
「うるさいなぁ...自分が幸せだからって...」
「...ん？ちょっと様子おかしいな。どうなってんの？相葉さん、これ」

翔ちゃんを指差しながら、ニノが俺を見た。

「んー...恋煩い？」
「雅紀っ！余計なコト言うな！」
「でもさぁ、翔ちゃん...あっ！今頼みなよ！潤くんに！」
「えっ！？今っ！？」

潤くんが「僕に何を？」って、翔ちゃんの隣に移動する。

「...えっと......俺も...」
「ん？何？翔さん」
「鬼ヶ島...」

そこまで言って、やっぱり口を噤んでしまう翔ちゃんを見てニノが「あー...なるほどね」と笑った。

「Ｊ、オレ暫く太夫の身請けのコトで忙しくなるから鬼ヶ島行けねぇんだわ。だからたまに大野さんに伝言頼んだりしても良いかな？」
「え？あぁ、うん。良いよ」
「そん時にさ、翔ちゃんも連れてってやってよ」

大きな目を更に真ん丸にした翔ちゃんが「えっ！」って声を上げた。

潤くんはニノをチラっと見てから「そうだね、一緒に行こう。翔さん」って笑った。

「すっごいスマート...二人ともちょー格好良いねっ！」

二人の大人な対応に興奮した俺に、ニノがシラっとした顔を見せる。

「相葉さんとは経験値がちげぇんだよ」
「馬鹿にしてんのっ！？」
「ううん、馬鹿になんてしてねぇよ？逆にその純粋な素直さが羨ましいわ」

赤い顔で「潤、ありがと」って言いながらまたパンを千切りだした翔ちゃんの隣で潤くんもパンを齧る。

「あっ、ねぇ。僕ずっと思ってたんだけどさぁ...」

潤くんがクリームパンを見つめながら呟いた。

「クリームパンってニノの手に似てるね」

大笑いして「可愛いなー、この手！」ってニノの手をグイって引っ張る。

「やめろやっ！」
「性格もこれ位可愛かったら良いのにね」
「うるさいっ！このドＳＪがっ！」
「ＳだかＪだか分かんないよ」

「ニノって潤が相手だと可愛いな...」って翔ちゃんが呟く。

俺も笑ってパンを掲げながら

「ニノの手」

言った瞬間、パコンと後ろからニノに殴られた。

・・・【END】・・・