PRESTO！【ars M.A】 (ページ17)

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17.もどかしい。ページ17

「マスター、ご馳走様！」

お腹も満足して、レジに居たマスターに伝票を渡す。

隣でAちゃんが鞄から財布を出したから「良いよ」って一言掛けると目をまん丸にして俺を見上げた。

「ダメだよ！イチゴ飴も買って貰ったし！」
「ハハッ！あれ、五百円しなかったよ？俺がご飯誘ったんだしさ」
「...けど...」
「いーのいーの！」

俺が小銭入れに畳んで入れてた諭吉をマスターに渡すと「じゃあ、端数出すね！」ってAちゃんが小銭を出してくれた。

そんな心遣いにもドキンとしちゃって、思わずマスターを見るとニヤニヤしながら俺を見てて「やめてよ！」って口パクで伝える。

「相葉くん、明日から仕事だろ？」

店先まで見送りに出て来たマスターが俺にコソッと耳打ちして来た。

「え？うん、そうだけど」
「あんまり夜更かしすんなよー？」
「なっ...！？しないよっ！もう...」

コソコソしてる俺とマスターをAちゃんが不思議そうに見てる。

「あっ...Aちゃん、帰ろうか！ねっ！マスター、バイバイ！早く仕事戻りなよ！」
「何だよー、つれないなぁ」

Aちゃんにバレないようにマスターに向かって手をシッシッてしたら、大笑いしながら彼は店に戻ってった。

「雅紀くん、ご馳走様でした。ありがと」
「ううん！どーいたしまして！」

また一緒にご飯行ってくれるかなー？...なんて思いながら歩いてたら

「わっ！」
「おっと...！」

ヨロッとよろけたAちゃんの腕を思わずギュッと掴んでしまう。

その腕が思ってたより細くて柔らかくて、ふわって良い匂いもして、一瞬でイケナイ想いがムクッて湧いちゃって慌ててAちゃんから離れた。

「えっ...と...あっ！Aちゃん、酔ってるでしょ！」
「ちょっとフワフワするけど、歩けない程は酔ってないよ！躓いただけ！」
「本当に？じゃあ、すっごい酔ったらどうなるの？」

んー、酔ったら...ってAちゃんはちょっと上を向きながら考えてる。

「楽しくなるかな！でー...何かもー、どーでも良くなっちゃう」
「どーでも！？」

どーでも良くなるって...何がどーでも良くなるの！？

「その後は眠くなるかなー？」
「眠く...」

どーでも良くなって眠くなる...もーそれ、格好の餌食だよ！？
俺、そんな子ばっかり引っ掛けてたよ！？

「...Aちゃん、あんまり飲み過ぎないでね？」
「え？」

どんだけ心配しても俺、彼氏じゃないからこれ以上言えないよなぁ...

もどかしいよ...もう。