17.置手紙。 ページ17
何も変わらない、毎日だったんだ。
ホントに、何も。
別に、日に日にニノミヤをどんどん好きになっちゃって！って感じも無くって、ずーっと同じテンションで片想いは続いてて
時々、嬉しかったりヤキモチ妬いちゃったり、そんな小さな色々はあるけど劇的な変化なんてモノは一切無くって...
何も変わらなかったはずなのに
「...あったま...痛い...」
ベッドの中で、どう考えても二日酔いの頭痛に眉を顰める。
「...え...っと...あれ...？」
昨日は私が初めて携わった本が刊行されたお祝いに...って職場の皆が飲み会を開いてくれて...
弱いからって言っても、一応主役にされてた私にお酒を断る権利は無くって...
フラフラで、でも気持ち良くって楽しくって
「あ...ニノミヤも居たな...」
私の隣で上機嫌にお酒を飲んで、ヘラヘラしてたニノミヤを思い出して顔がニヤける。
酔いのせいかちょっと舌っ足らずな感じで喋るニノミヤが可愛くって、キュンキュンしたのも思い出す。
...なんだけど...
「私...いつ帰って来たの...？」
途中からの記憶がスッポリと抜け落ちてる。
記憶が無くなるほど飲んだのなんて無茶して遊んでた大学生の頃以来で、ちょっと自分に驚く。
ベッドから出て、冷蔵庫から水を出して飲みながら必死で思い出そうとするんだけどなーんにも思い出せない。
「...ん？」
ふと、ローテーブルに目をやると紙切れが一枚置いてある。
何気無くそれを見た私の口いっぱいに含まれてた水がドバァ...と零れた。
「...はぁっ！？」
立ったまんまその紙切れを取ろうとしても焦ってるのか上手く取れず、座ってちゃんともう一度書かれてある文字を読む。
『おはヨン様。センパイ気持ち良さそうに寝てるから起こさないけど、起きれたのかな。
二日酔いで遅刻なんて社会人としてありえないから、とりあえず頑張れ！
オレは一回家に帰ってから会社行きます。
鍵は郵便受けに入れてるからね！ 二宮』
...おはヨン様...って何！？
何かへったくそな眼鏡のイラスト付きだし...
いやいや、そこじゃない！今、おはヨン様はどっちでも良い！
「...ヤバイ...」
これって...これって...
慌てて自分の胸元を両手でガシっと掴む。
「...ヤバイって...」
部屋着のＴシャツの下は、完全にノーブラだった。
＿＿＿襲っちゃうよ？＿＿＿
薄い記憶の中、そう言ったニノミヤの声をやけにハッキリ思い出して
私は余計に頭が痛くなった...気がする。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年5月13日 20時
