18.EVIDENCE。 ページ18
妙にリアルに耳にこびり付いてる『襲っちゃうよ？』を振り払うように、頭をブンブン振ると
「いっ...つー...」
二日酔いの頭がズキンと痛んだ。
ニノミヤが残してった置き手紙をとりあえずもう一度ローテーブルに戻して、深呼吸をしてみる。
ズキンズキンしてる頭をどうにか働かす。
記憶を、ちょっとでも引っ張り出そうと頑張ってみる。
確かに昨日、私はデロデロに酔っ払って記憶を無くした。
そして、どうやらそんな私をニノミヤは送り届けてくれて...
どうも泊まってったらしい。
ここまでは理解できた。
問題はここから、よ。
この、ノーブラ状態はいつ誰が施したの？
うちには予備の布団なんて無いのに、ニノミヤはどこで寝たの？
どーしたら「襲っちゃうよ？」な状況になるの？
そして、私...
「ホントに襲われたワケ...？」
いやいやいや、いくら何でも無いでしょ。
ニノミヤが私にそんな気を起こすとは思えない。
ほらほら、アイツの側に居る女の子達って皆何だかフワフワしてて可愛らしい子ばっかりだし。
「...無い無い、無いわ」
そうだよ、泊まったのは泊まったんだろうけどその辺にゴローンってしてたんでしょ！
...寒いけど。
私とニノミヤがヤッちゃった証拠なんてどこにも無いんだし！
...そもそも『ヤッた証拠』って何なんだって話だけど。
「シャワー浴びよ...」
フラッと立ち上がり、ベッドの方をチラリと見る。
「...ちょ...待って...」
私の目が、ベッドサイドに置いてる小さなチェストで止まる。
「待て待て待て...」
心臓がバクバクして来る。
チェストの真ん中の引き出しが開きっ放しになってる。
私の思い違いで無ければ、そこに入ってるのは...って、自分ちなんだから思い違いなんてあり得ないけど...
そこに入ってるはずなのは...
ソーッと引き出しの中を覗く。
中身が一つだけになった、蓋が開いてる小箱。
だいぶ前に付き合ってた彼氏が置いて行った『妊娠しない為のソレ』は、二つ残ってたはず。
それが一つになってる意味。
祈るような気持ちでゴミ箱を引き寄せ、中を恐る恐る見てみる。
「...嘘でしょ...」
目に入ってしまった...使った覚えの無い丸まったティッシュと、封を切られた正方形の小袋。
...あるじゃん、証拠。
動かぬ証拠、あるじゃん！
これ以上無い証拠、遺しちゃってるじゃん！
「...終わった...」
私はその場に、パタンと力無く倒れ込んでしまった。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年5月13日 20時
