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冷ましたゆず茶をズズッと飲んだ雅紀くんが「温度オッケー、味もオッケー！」ってマグカップを私に渡してくれた。
「ありがと...」
「ううん。早く良くなると良いね」
良くなる...とゆーか、時間が経てば自然と治るんだけど...
「うん...」
ここは素直に頷いておく。
だって、本当に早く良くなりたいから。
ゆず茶が美味しい。
いつもより美味しく感じるのは、きっと気のせいじゃ無い。
「女の子は大変だね」
「こればっかりはねぇ...私、ちょっと重い方だから...」
「そっかぁ...俺が代わってあげられたら良いのに」
肩を抱き寄せられる。
あったかい、これだけで充分。
「フフッ...男の人には耐えられないって言うよね」
雅紀くん、あの血の量を見たら倒れちゃいそうだし。
「して欲しい事があったら、何でも言ってね」
「え...？」
「身体、しんどいでしょ？だから、何でも俺がしてあげるから」
「雅紀くん...」
洗濯？掃除？あ、料理でも良いよ！って雅紀くんが笑ったと思ったら、ちょっとだけ照れ臭そうに口を開いた。
「予行演習、ってゆーか...」
「予行演習...？」
「Aちゃんに赤ちゃん出来た時、とか？」
思わず、彼の顔をジッと見てしまう。
彼はクスッと笑うと、私の手の中のマグカップを取りローテーブルに置いた。
「ほら、身体冷えちゃうよ？今日はもう、寝なきゃね」
そして、もう一度私をベッドに寝かせてくれる。
「雅紀くん...」
「ん？」
「今日...帰っちゃう...？」
「ううん、ずっとAちゃんの側に居るよ」
ふわふわとおでこを撫でられて、心地良くて
でもドキドキが凄くて、ちょっと辛い。
雅紀くんの手を握る。
大きな手が、私の手を包み込む。
「ねぇ、Aちゃん」
「ん...？」
「俺があっためてあげよっか？」
雅紀くんが、布団にモゾモゾ入って来て手だけじゃなくて身体ごとギュウっと抱き締めてくれた。
「Aちゃんが寝るまで、こーしててあげるね」
返事の代わりに、彼の身体をギュッと抱き締め返す。
「楽になぁれ、楽になぁれ」
おまじないみたいに小さな声で呟きながら、腰を撫でてくれる。
「おやすみ、Aちゃん」
おでこにチュッとキスをくれて
結局雅紀くんは、私より先に寝てしまった。
やっぱりちょっとだけ、完璧にはなりきれない彼。
「ありがと...雅紀くん」
少し開いたその口元に
彼を起こしてしまわないように、ソッと口付けた。
・・・END『ADORABLE!』・・・
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年7月9日 18時
