明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ39)

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249.待って。ページ39

薄く開いた目の中は鳶色。

こんなに色素の薄い目を、私は他に見た事無い。

「...目、瞑ってくれませんか？」
「...二宮くんこそ...」
「オレは良いの。オレは見たいの」
「私だって見たいもん」
「ンフッ、可愛くねぇな...」

キスの合間にそんな会話をして、二宮くんは「このやろ」ってガブっと私の唇を噛んだ。

でも、それは甘い甘い甘噛みで

すぐにふわふわ気持ち良くなる。

ソファに寝転ばされて、覆い被さられて

スルリと、二宮くんの手がニットの裾から中に入って来た。

「あっ...！ちょっ...」
「ん？」
「待って...」
「やだ」

私の首に顔を埋めてそこに唇を押し当てながら、ニットの中の手はどんどん上がって来る。

「ま...待って待って...！」

思わず、二宮くんの両肩をグイっと押したら

ちょっと唇を尖らせた彼が、眉を顰めて真上から私を見下ろした。

「待って...」
「もう充分待ったよ」
「...でも...」
「いつから待ってると思ってんの？」
「...え？」

ハァ、って溜息。

「あーオレやっぱ好きになっちゃってんじゃんって自覚したの、お前がイケメンマネージャーとマンションの前に居た時」

二宮くんが、少し私から視線を逸らす。

「イケメンマネージャーが居なくなるって聞いて、正直嬉しかったよ。なのに、お前...雅紀に押し倒されてるとか何なの...」
「......あれは...」
「雅紀、無駄にイケメンだし優しいからAがアイツ好きになったらどうしようって思ってた」
「......」
「すっげぇ不安だった。でも、Aはオレのモンになった。でしょ？」

逸らされてた視線が戻って来た。

あぁ...視線が絡むってこの状態なんだ...って初めて知った。

「もう待ちきれない。これ以上、我慢させんな」

スっと息を吸い込んだ口を、噛みつくように塞がれて

一瞬、息が出来なかった。

閉じてくれない目に、至近距離で見下ろされる。

頭がクラクラする。

酸素が足りない。

藻掻くように、二宮くんの背中を抱き締める。

ニットの中にあった手が、勝負できるか微妙な下着に触れて

やっぱり、身体が強張った。

「ん？」
「...恥ずかしい、んです...」
「ンフフ。大丈夫」
「......」
「オレだって恥ずかしいです」

アハッ、って二人で笑って

「あ。クロは見ちゃダメー」

部屋の隅に居たクロに向かって言った二宮くんが

「あっち、行こっか」

目線で示したのは、きっと寝室。