明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ31)

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241.隠してた。ページ31

一瞬触れた唇は、すぐに離れて

そこはスゥっと冷たい風に晒される。

鼻が当たる距離で、二宮くんが動きを止めるから

息をしても良いのかどうか分からなくなって

顔を逸らして「フゥッ」って息を吐き出したら、クフッて笑われた。

何か恥ずかしくて、顔を逸らしたまんまでいたら

「こっち見ろ」って言われて

チラリ、視線だけをそっちに向けたら

「顔ごと！」って両頬をムニッて挟まれて、強引に顔を二宮くんの方に向けられた。

「ンフフ、フグみたい」

ほぼ悪口な言葉と共に、彼が私にキスをする。

さっきと違って、すぐには離れない。

冷たかった二宮くんの唇に、どんどん熱が帯びて来て

それを感じたと同時に、その唇が私の唇を挟んだ。

徐々に、徐々に、深くなる。

ミントの味。

頬を挟んでた彼の掌が、髪を梳いて私の後頭部を包み込む。

もう片方の掌はスルリと背中に回されて、ギュッと抱き締められた。

こんなにも細くて小さくて可愛いくせに

どこに、こんなオトコを隠してたの？

「A...？」

離れた唇が、私を呼ぶ。

「...ん？」
「もうオレのモン？」
「...えー？二宮くんが私のモンになったのかな？って思った」

照れ隠しに、ちょっとフザけて返してみる。

「フハッ！まぁ、それでも良いよ」

きつく抱き締められて、ちょっと痛い。

だけど、その痛みだって嬉しくて

知らない間に、こんなに好きになっちゃってたんだって恥ずかしくて。

「A、イイコト教えたげる」
「なに？」
「オレの中のAの順位、クロとA並んだよ」
「アハッ！うーん、やっぱりクロは超えられないかー！」
「悔しい？」
「クロを溺愛してる二宮くん見るの面白いから、クロには勝てなくても良い」
「悔しいって言えよー」

ちょっと不満そうな二宮くんの頬をつつくと、肩を上げて微笑む。

そして、お返しのように私の頬をツンとつついて

「人間では、Aが一番好き」

なんて変な告白。
前にもそんなコト言ってたね。

だけど、そう言ってくれてる彼の表情が本当に本当に優しくて

「ちゃんと好き、ですよ？」

小さく掠れた声が、切なくて

何だか泣きそうになった。

「ほら。次、Aの番」
「え？何、番って」
「オレをどう想ってるのか言う番」
「えっ！？えー...と、あー...また次回でも良い？」
「なぁんだよ、次回って！」
「次回のお楽しみって事で！」

とことんフザけちゃう私の頭を、二宮くんがポコッて軽く叩いて笑った。