明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ29)

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239.TOY。ページ29

心臓が、イタイ。

前に言われた時とは違う。

だって、もう私は私の気持ちを自覚してる。

「ムカつく位、Aのコトばっか考えてんの。ホント、ムカつく」
「.....」
「オレ、考えなきゃダメなコト他にいっぱいあんのよ。なのに、お前のコトばっか...何なの」

寒い！って何故だかちょっとキレ気味で、摘んでたブランケットを引っ張って二宮くんは自分も一緒に被った。

「Aにもオレのコト考えて欲しくなる」
「.....」
「オレのコトだけ考えてよ」

1枚のブランケットに包まった二宮くんが、あまり口を開かずに言う。

「一人前になるまで...とか偉そうなコト言ったけど、オレ...もう無理だ...」

ドキドキし過ぎて、息をするのも苦しくて

寒いからなのか、緊張なのか、分からないけど手が震えるからブランケットの中で拳を握ったら

その拳を包むように、二宮くんの手が重なった。

「オレのモンになってよ。全部、オレのモンにしたい」

嘘でしょ

嘘でしょ

嘘でしょ

頭の中で、グルグル回る。

「お前が他のオトコのモンになるとか、絶対やなんだけど」
「.....」
「だって、Aはオレだけのおもちゃでしょ？」
「おもちゃ...って...」

ンフッ、て笑った二宮くんが少しだけ身体を寄せて来た。

「Aを誰にも触らせたくない」
「.....」
「そんなコトばっか考えてんの。学校行ってても、とーちゃんの仕事手伝ってても」
「.....」
「なのにAはイケメンマネージャーに簡単に頭撫でさせたりしてんの！バカッ！」
「それは...っ！」
「クッソー...アイツ、絶対自分がイケメンだって分かってやってんだ...」

何かブツブツ言ってる。

「.....ねぇ...何で二宮くん突然現れたの？」
「え？」
「だって、あんなのホラーだよ？暗闇からバンっ！って...」
「はぁ？こんな美少年捕まえて、ホラーだとぉ？」

美少年であろうが、何であろうが、あれはホラーだった。

「...コンビニ行こうと思って下りてったら、あの車が停まって...」
「うん」
「チラッと見たら、助手席に乗ってんのAで...」
「うん」
「誰に送らせてんのかなー、って覗いたらさぁ...1番会わせたらダメな奴じゃん！」

大阪行ったんじゃねぇのかよ！って焦るじゃん！って、二宮くんはあの怖い顔をした。

でも、改めて見ると別に怖くない。
子犬がアウアウ怒ってるみたいな、そんな顔。

思わず、フフッて笑ったら

「なぁに笑ってんのよ」って、二宮くんもクフッて笑った。