明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ22)

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232.弁解。ページ22

「ついでに一服するかー」

櫻井さんがジャケットのポケットから煙草を出しながら、店の外へ出た。

隣に立つ相葉くんを、静かに見上げる。

「...どーゆー事かな？」
「えっ！？」
「サプライズって何！？」
「ちがっ...！あれは咄嗟に出たってゆーか...！」

広げた両手を顔の前でブンブン振って弁解してる相葉くんに「何で言ってくんなかったの！？」って言うと、少しショボンとした顔をした。

「だって...言ったら絶対、変に構えるでしょ？」
「......そりゃ、心の準備とか色々と構えるよ」
「構えたら意識しちゃうでしょ？」
「...分かんないけど...」
「だから、ギリギリまで知らせない方が良いかなと思って...」

ちょっと口が尖ってる。

「言おうと思ったんだよ？ほら、俺、言い掛けたでしょ？あん時、翔ちゃんが出張でこっち来るって本社から連絡あった後だったんだけどさ」
「うん」
「でも、そんな予告したらダメだと思ったの」
「予告？」
「何か...ついつい帰って来るその日が来るのを待っちゃったり...するかなぁ、って」

手持無沙汰なのか、相葉くんはネクタイを弄りながら話してる。

「......しないよ」
「嘘だ」
「...嘘かもしんないけど」
「ほらー。Aちゃんは待っちゃう子なんだってばー」

私の何を知ってんだ、って思ったけど

結構知ってる。この子、私のコト知ってる。

「待ったらダメなのに、心待ちにしちゃうでしょ？」
「ダメなの？」
「ダメだよ。それじゃあ、前に進めない」
「...そうだね、待ってたら立ち止まっちゃう」

でしょ？って言うと、私の肩をポンっと叩いて相葉くんは小さく息を吐き出した。

「言わなくって、ごめんね」
「ううん」
「写メも...送ったの、ちょっと後悔してんの」

写メ？って思ったけど、大阪からの写メか！ってすぐに思い出して、プッと吹き出してしまう。

「思い出させるようなコトしちゃったよなー...って、ねぇ、大丈夫だった！？実はあの写メ見て泣いてたとか無い！？」
「アハハッ、無いよー。良いモン見せて貰ったって思ったよ？」
「消去しよっか！」
「やだ！しない！」

何だよー...って相葉くんが、困ったように微笑む。

「相葉くん」
「ん？」
「私、大丈夫だよ」
「...うん」
「ありがと。相葉くんに『大好き』って言いたい」
「言って良いよ？」
「フフッ、言わない」

相葉くんの肩をポンっと叩いて

「イケメンマネージャーが待ってるから、行かなきゃ」

そう言って笑うと、彼も笑った。