明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ14)

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224.進展。ページ14

街路樹の木々が、どんどん色を変えて

二宮くんが言ってたように、銀杏の下が何とも言えない臭いになって来た頃

仕事に行くと、相葉くんがベストの中にネクタイを締めていた。

「どうしたの！？大人みたい！」
「待って待って！俺、一応大人！」

昨日まではノーネクタイだったのに。
そこにネクタイが加わるだけで、ぐっと大人に見える。

「俺、最近ホールってゆーよりレジ案内がほとんどでしょ？店の顔に立ってるんだから、って本社からの指示」
「そうなんだー、格好良いね！」
「そう？春からはスーツだよ」
「うわー、ファンが出来ちゃうんじゃないー？」
「うっそ！ヤバイね！俺、ブイブイ言わせちゃう！？」

相葉くんはフザけた顔して両腕をグイグイ前後させてる。

そんなコトしてると、やっぱり子供っぽい。
逆コナン。

「あ、そう言えば！ミワちゃんと三十四、行った？」

私が訊くと、相葉くんが目尻にキュっと皺を寄せた。

「うん、行って来たよ」
「そうなんだー！でっ！？どうだった！？」
「ん？美味しいって喜んでたよ？」
「んー！！そうじゃなくって！！」
「もう、何なのー？」

相葉くんの腕をバチバチ叩きながら話してると、彼もヘラヘラ笑って

笑ってたと思ったら、ちょっとはにかむように唇を噛んでこっちを見た。

「今度、遊び行こっか...なんて、誘ってみたり...してみたり」
「うっそー！本当に！？ミワちゃんは！？良いって！？」

...って、良いに決まってるか！！

「うん。何か、アワアワしてたけど」
「...あぁ、想像できるねそれ」
「可愛いよね」
「フフッ、うん」

妙に私までキュンキュンしちゃって「もう！」って相葉くんの背中をパチーン！と叩く。

「いったぁ！乱暴なんだからー」
「アハハッ、ごめんね！さ、着替えて来よっかな！」
「うん」

何だかホクホクした気分で歩き出すと、「あ、Aちゃん」って呼び止められた。

「ん？何？」
「あのさ、実はね......あ...、やっぱ良いや」
「え？」
「ううん、何でも無い！」
「絶対に何でも無くないでしょ？」

こんなベタな『気になる言い方』って無いでしょう。

「何？気になるんだけど」
「んー...別に言わなくってもすぐに分かる事だし、気にしないで？」
「ふーん...あ！時間ヤバイ、着替えなきゃ！」

開店時間が近付いて、慌ててロッカーへ急ぐ。

着替えながら「相葉くん、何の話だったんだろ」って考えたけど

いつか分かるなら、まぁいっかなんて

すぐに考えるのをやめた。