明日の天気の話をしよう 6th【ars】 (ページ26)

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201.七転び八起き。ページ26

「心...ですか？」
「うん。前にちょっと悩んでるっぽかったから」
「あー...ですよね、わー...何か冷静になったら恥ずかしい相談しましたよね」
「そんな事無いよ？生きてたら恋だってするし、恋したら悩みも出て来るし。普通普通」

潤さんの大きな目が、キュウっと細くなった。

目力はちょっと減るのに、魅力は倍増してるみたいでこの人はどれだけの破壊力を持ってるんだろうかと恐ろしくなる。

「ちゃんと...お別れする前に、お礼を言えました」
「ホント？そっか」
「気持ちは...やっぱり伝えられなかったけど、それだけでも言えて良かったって思いました」
「うん。そうだね」
「......はい」

ちょっとその時のコトを思い出しちゃって俯いたら、頭をフワっと軽く撫でられて

顔を上げると、もう私の頭から手を離してた潤さんが優しく微笑んだ。

「偉いよ。頑張ったね」

自分を偉いだなんて、思わなかった。

その言葉に、胸がジワって熱くなる。

「潤さんのお陰です...ありがとうございました」
「ううん、頑張ったのはAちゃんなんだから」
「......」
「経験には無駄な事なんて、無いから。辛い事だって、成長の糧になる」

潤さんがガッツポーズを作って「七転び八起き、転んでもタダでは起きない、の精神で！」って口を一文字にした。

「転びまくって傷だらけにならないように気を付けます」
「アハッ、転ぶ度に起こしてあげるよ」
「何と心強い...」

もう、スーパーマンを味方にした気分だよ。
いや、白馬に乗った王子様？キスで起こしてくれる的な？
いやいや、和の心を持つ武士か？「拙者が助けるでござる」的な？

「...武士潤...」
「え？何で武士」

首を傾げて潤さんが笑った。

「じゃあ、お仕事頑張って！」
「潤さんも」
「了解」

ビシっと敬礼した彼と桜の前で別れて店の中へ入ろうとすると、ミワちゃんが出て来た。

「あ、おはよう！ミワちゃん、ランチだったんだ」
「おはようございますー！賄い食べてました」
「今日の賄い、何だった？」

そこでちょっと立ち話してたら、向こうから歩いて来る人。

私に気付くと、その人はブンブン大きく手を振った。

「おっはよー、Aちゃーん」

タタタっと軽く、私達の所まで駆け寄って来る。

「あれ？相葉くん、大阪は？」
「昨日の夜、帰って来たの。えっとー...あ！ミワちゃんだったよね、おはよ！」

相葉くんが私の横に立つミワちゃんを見て、ニッコリ笑った。