明日の天気の話をしよう 6th【ars】 (ページ33)

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208.成り行き。ページ33

軽く...ってゆーか、結構本気の頭突き。

痛い...ズキズキする...。

でも、この痛みが夢じゃ無いですよー？ちゃんと現実受け止めなさいよー？って言ってるみたいだ。

「......は...、あの...それはクロが好きってのと...同じ...？あ、またからかって...！」
「違うけど」
「...え...っと...」
「普通に恋愛感情だけど」
「れ...んあ...」
「人間のオンナとして好きなんだけど」

人間のオンナ...あぁ、確かに私は人間の女です...

「A、今どんな顔してんの？」
「えっ！？ちょ...っ！」

ほっぺを両手で挟まれて、顔をグイっと二宮くんの方に向けられた。

「あ、困った顔してる」

そうか...私、困った顔してたんだ...
私、困ってるんだ......いやそりゃ困るよ！

告白された！！
想像もしてなかった人に告白された！！
こんな経験無いから、どんな顔したら良いのか分からなくて困ってるよ！！

「別に困らなくて良いよ？」
「え...？え？」

困らなくて良いって、どーゆーコト？

「だって付き合いたいとか、そーゆーんじゃ無いから」
「...は...？」

ほっぺから手を離すと、私の肩からズリ落ちてた毛布を掛け直してくれて

ちょっとだけ毛布ごと引き寄せられた。

「オレね、一人前になるまでは彼女作らないって決めてんの」
「......うん...うん？」
「今、イロコイにうつつを抜かしてる場合じゃないもん。オレ」
「...あ...うん...」
「オレ、のめり込むタイプだから何も手に付かなくなりそうだし」

一枚の毛布に包まって告白されて、物凄い雰囲気的には甘いはずなんだろうけど、言われてる事がそれとは程遠くて頭と心が上手く連動してない感じ。

私はきっと、まだ困った顔をしてるに違いない。

「あ、でも高校とか大学入ったばっかの頃は彼女居たよ！これ、重要」
「...え...？」
「だってチェリーだと思われたくないもん」
「べっ...別に二宮くんがチェリーだろうが何だろうが私は...っ！」

関係無いでしょう！
何故そんな事が気になるの！男子って何なの！

「あーあ、成り行きって怖いね」
「成り行き...」
「お前が『幸せになれる気がしない』なんて寂しい事言うから悪いんだかんな？」
「......」
「好きなんて言いたくなかったのに...言っちゃったよ」

毛布と一緒にギュウって抱き締められる。

ふわふわ顔に当たるのが、毛布なのか二宮くんの髪なのか肌なのか...それも何だかよく分からない。

回されてる手が、ポンポンと何だか楽しそうに私の背中で跳ねた。