10.ミントガム。 ページ10
こないだはフードを被っててあんまり分からなかったけど
今日は丸出しになってる二宮さんの頭。彼の全貌が見えた。
ちょっと長めの前髪を邪魔だからか耳に掛けて、ガムを噛みながら上着のポケットに両手を突っ込んで
猫背な背中には、黒くて細長い筒を背負ってる。
「どうも...」
「ども」
ぺこりと頭を下げたら、二宮さんもペコッと軽く頭を下げて手を突っ込んでたポケットから鍵を出した。
あ、そうだ。私も鍵出さなきゃ...ここオートロックだったわ。
「入れば？」
「え？」
俯いて鞄をゴソゴソしてたら、声を掛けられて顔を上げると
二宮さんがオートロックを解除した自動ドアにもたれて扉を背中で押さえ、ドアが閉まらないようにしてくれてた。
「あ...すいません」
ヘコヘコ頭を下げながら、二宮さんの横を小走りして自動ドアを通る。
二宮さんも、私が入った後にマンションの中に入った。
集合ポストへ向かい、203号室の郵便受けからまだ親戚に届く郵便物を出す。
彼は501号室の郵便受けを開けて、いくつかの封筒を手にしてた。
家族と住んでるのかな。
ここって一人暮らし用の間取りじゃないし。
ってゆーか、そもそも分譲だし。
コソッと彼の横顔を盗み見る。
...いくつなんだろう。
「多分、歳そんな変わんない」って言われたけど、上かな...下かな...。
「ん？何？」
「えっ！？あっ...何でも無いです...」
思わずブンブンと首を振ると、「そ？」って彼は短く応えてスタスタと集合ポストを出て行った。
私はフゥ...と小さく息を吐き出して、不要なチラシ類をゴミ箱に捨ててからエレベーターに向かうと
ちょうど二宮さんがエレベーターに乗り込んだとこたった。
一瞬立ち止まった私に
「乗んないの？」
彼は別に笑いもせず、小首を傾げて訊く。
「あ...っ！乗ります」
急いでエレベーターに乗り込む。
ふわり、ミントガムの香りがした。
「すいません」
「何で謝ってんの？」
「え...あー...」
答えに迷ってる私より先に、二宮さんが二階のボタンを押して、その後に五階のボタンを押した。
無言の二人の間に、エレベーターが上昇する機械音だけが静かに響く。
「いる？」
突然声を掛けられて、二宮さんを見ると
彼はこっちは見ず電光表示を見たまま、手だけを私に差し出してた。
その指先には、ミントガム。
「あ...いただきます」
私が手を差し出すと、二宮さんが掌にコロンと粒ガムを乗せてくれた。
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まめなり(プロフ) - 図々しいかもしれませんが続編を検討していただけると何よりも嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。長文失礼いたしました。 (2017年7月18日 10時) (
レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - 最後Nくんは実家に帰ったのかなぁとかAくんとあの子はどうなったのかなぁとかOくんはあの子とどうなったのかなぁとかSくん結婚しないかなぁとかMくんもあの子とどうなったのかなぁとか。そして何より1番気になるのは主人公のカフェはどうなったのかなぁと。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - が好きです。ロマドーの雰囲気もそこで暮らしている人々も。(個人的には最後結ばれるのが担当様だったのも嬉しかったです笑) 今まで色々reiさんのお話を読ませて貰っていましたが、このロマドーも相変わらず素敵なお話だと思いました。そこで続編のお願いを…笑。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - こんにちは！どこに書けばいいのかわからなかったのでココに。私はロマドーの2章が始まったくらいで受験勉強のために占ツクから離れた者です。受験も終わり久々に占ツクを訪ねてみるとロマドーが完結していて思わず読んでしまいました。率直に言ってホントにロマドー (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いきなりすいません！君の名は。って話ありますね笑 (2016年10月27日 14時) (レス) id: 55ecfc4463 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年1月27日 19時
