ナ ページ14
ニノさんはパーカーのポケットに両手を突っ込んだまま、私の持ってる袋を見る。
「それは、マサキに？」
「...ずっとスーツじゃ窮屈だろうから...部屋着を...」
「そんなの裸で構わねぇだろ」
「裸！？私が落ち着きません！」
良い身体してるよー、マサキ！って笑うニノさんに「興味ありません！」って言いつつ
今朝のはだけたシャツの隙間から見えてた胸元だけでもそんなの分かったし！とか...思っちゃってる自分。痴女か。
「何か...ニノさんは、昨日とはえらく雰囲気違いますね」
「あー、まぁ一応人間界に馴染むようにしてるから。昨日のはフリマに合わせたの」
「なるほど...でも、この真っ白コーディネートは結構浮いてますよ」
「うっそ！すっげぇ似合ってると思ったんだけど」
似合ってるけども。
似合ってるのと、馴染んでるのは違うからね。
「それより、マサキから詳しい話は聞いた？」
「あ...はい。マサキは罰を受けてるんですよね？」
「そーそー。しょーもない罪おかしたからさ、罰ってゆーかお仕置きだよな」
服だけじゃなくて、肌も真っ白なニノさんがククッて笑いながら私を見た。
「ま、アイツが魔法界に戻って来るにはお嬢さんの協力が必要ってコトよ」
「あー...はい」
「メンドイとは思うけど、暫く付き合ってやって？まぁでも願いを3つも叶えて貰えるんだからお嬢さんにもお得なハナシだよな」
「フフッ、それはそうですね」
家で待ってるであろうマサキの事を想う。
何だか、胸がムズムズする。
「じゃ、宜しくね。さっさと願い事言ってやったら、マサキもすぐ解放されるっつーコトだから」
「......はーい」
すぐに解放...か。
「お嬢さん？」
「えっ...？」
ニノさんが私に近寄り、少し身体を前のめりに屈めたと思ったら
鳶色の目で、私の顔を覗き込む。
「マサキは、ニンゲンじゃねぇかんな？」
さっきまで微笑んでた目が、鋭く変わってる事に気が付く。
「そんなの...分かってますけど」
「ん、だったら良いんだけどさ」
鋭さをすぐにユルッと解いたニノさんが、また微笑んだ。
「じゃ、オレ行くわ」
「はい」
「お嬢さんに有益な願い事を考えて、しっかり叶えて貰いなよ？」
「...はい」
やっぱり「あー、飛びてぇ...」って呟きながら歩いて行くニノさんのその言葉の意味を今日の私は分かる。
ニノさんも空飛ぶ絨毯に乗るのかー...と思いながら、私はマサキの待つ家へと
心持ち早足で帰った。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年12月5日 15時
