良くいうとカゲロウデイズ、 (ページ8)

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最近はよく眠れているせいか、
とても気分が良かった。

張り見世から見た色町も、
いつもより輝いて見える。

目の前を通りすぎていく男たちがAを見るたびに舐め回すような視線を送ってくるが、
そんなことは気にしなかった。

早く。
はやくあの方が来てくださらないかしら。

今まで、Aは望みなどなかった。

だがいつしか、一つの望みを抱くようになっていた。

それは、深い闇の中で小さな灯りを見つけたような感覚。

彼の話はいつも光輝いていて、目を覆いたくなるくらい眩しかった。

私は、あの方の世界にはとどかない。

そう頭では理解している。

しかしその中にも、その光に惹き寄せられ、手を伸ばす自分がいる。

私も、いつかあの方の世界に行けるかしら。

そう、あの光輝く月みたいな世界に。

空に手をかざすと、もう一つの手がAの手に重ねるように差し出された。

「こんばんわ」

気怠そうな表情に三日月の唇をのせて、
男はやって来た。