其ノ拾 鬼舞辻無惨という男 ページ11
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そこには獅子のような髪型をした、黄色い頭に毛先が赤い男がいた。
瞳は夕焼けのような真っ赤な情熱の色をしている。
刀を持っている、侍か?
いや、侍ではない、この雰囲気、鬼殺隊だ。
「どうしました?道にでも迷われましたか?」
無惨様はあたしの肩を抱きながらそう言った。
その瞳の奥には嫌悪が示されていた。
「いいや、俺はこの近辺の怪異の聞き込みをしている煉獄という者だ。
最近江戸での鬼の目撃情報が後を立たない。
何か知っていることはないかと道行く人に声をかけている」
「鬼……ですか?本当にそのようなものが存在するとでも?」
「奴らは闇夜に紛れ人を喰う。
せいぜいあなたがたも夜道を歩く時は気をつけるように」
「ええ、ご忠告ありがとう。あなたもお気をつけて」
無惨さまは惚れ惚れするような笑みをこぼすとその男から離れるように歩き出した。
視線を感じ、振り向いたときかち合ったその赤い瞳で、彼はじっとわたしたちを睨めつけていた。
……この人、まさか。
嫌な予感がしたわたしはそれ以上何も考えないことにした。
歩き続けて、月彦として暮らす屋敷に帰ってきた。
「お館様、奥方様、お帰りなさいませ」
「ああ、ただいま」
使用人に挨拶を済ませた彼は足早に書斎に戻った。
そして次の瞬間、私たちは無限城に戻っていた。
『……無惨さま。もうあのお屋敷には戻れませんね』
「ああ、間違いない、奴は炎柱だ。
私の居場所を嗅ぎつけたのだな……人間風情が」
『使用人の中に鬼殺隊員がいたのでしょうか?』
「もしそうだとすれば皆殺しにしなければならないな。
……まあ、どちらにしろあの屋敷に戻ることはない。
あの煉獄という男は私が鬼だということに勘づいていた。
そうでありながら刀を抜かなかった、何か裏があるはずだ」
『そうですね、しばらくは様子見でしょうか?』
「ああ……」
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ノン - 面白いです。これからも、頑張ってください!応援してます。続きが楽しみです! (2020年8月17日 15時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
すみすみすみー - 稀血の女の子が鬼と暮らす場合ですか…おもしろそうですね!更新頑張ってください!こちらも応援します! (2019年10月1日 19時) (レス) id: f033c55e4a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - (´・ω・`)さん» うわわっ!早速コメントありがとうございます( *˙ ˙* )やる気出てきました頑張ります!!! (2019年9月21日 17時) (レス) id: f9a4668cbc (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - 好き…更新頑張って… (2019年9月21日 8時) (レス) id: 03f6bf06e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2019年9月20日 22時