其ノ拾壱 稀血の特性 ページ12
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それから半年が過ぎた。
外に出られなくても、忙しかったわたしにとってはあっという間だった。
『無惨さま!ついに“許容”することができました』
「そうか、これでひと安心だな」
わたしは嬉しさのあまり飛び跳ねた。
半年かかってようやく「無意識に鬼の血鬼術を無効化してしまう」という厄介な体質を変化されることができた。
生身の人間として、鬼と比べ物にならない早さで老いてしまうわたしにはどうしてもかけてほしい血鬼術があった。
それは人の成長を止める血鬼術だ。
どうせ鬼にはなれないのだから、せめて見た目だけでも若いままでいたかった。
『無惨さま、どうか末永く可愛がってくださいね』
「ああ、約束しよう。Aの命が尽きるその時まで」
これからは老いてしまう心配も、醜い姿を晒して捨てられる心配もないんだ。
わたしは幸せだった。
「何をしている?」
『あ、無惨さま。日記を書いております!』
「なぜそんなものを?」
『生憎わたしは物覚えが悪いので書き留めておくことにしたんです。
そうしたら無惨さまも私が死んだ時悲しくないでしょう?』
「……」
『無惨さま?』
「いや、なんでもない。邪魔して悪かったな」
『……?』
わたしはこの頃から日記をつけるようになった。
幸い、吉原で読み書きを習ったから字は書ける。
暇つぶし、と言えばそれで済んでしまうのだが、日々の出来事を書き記し読み返すのが楽しかった。
上弦の皆様がわたしのことをちゃんと思い出してくれるように生い立ちから今に至るまで事細かに書き記した。
いつしか書き連ねた紙は1冊の本になり、わたしはこの手記に「少女鬼譚」と名付け大切に保管するようになった。
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ノン - 面白いです。これからも、頑張ってください!応援してます。続きが楽しみです! (2020年8月17日 15時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
すみすみすみー - 稀血の女の子が鬼と暮らす場合ですか…おもしろそうですね!更新頑張ってください!こちらも応援します! (2019年10月1日 19時) (レス) id: f033c55e4a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - (´・ω・`)さん» うわわっ!早速コメントありがとうございます( *˙ ˙* )やる気出てきました頑張ります!!! (2019年9月21日 17時) (レス) id: f9a4668cbc (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - 好き…更新頑張って… (2019年9月21日 8時) (レス) id: 03f6bf06e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2019年9月20日 22時