片想い17 ページ18
葵ちゃんのご両親が遠出するのは珍しいことじゃない。
そういえば二年近く家を空けていたこともあったなぁ。
その度に一緒にお泊まりをしていた。
母親同士が仲がいいから、小学校にあがった年を
節目にしたらしい。
人見知りだった私は最初葵ちゃんを拒んだけど、
今ではすっかり親友だ。
「あれ、どうしたの? その大荷物」
しかし。親友と言えどわからない範囲は当然ある。
現に葵ちゃんは世界一周でもするのかと思うほどの
詰め込み具合でリュックを背負ってきたのだから。
これを聞かずにいられるわけない。
「あぁ、土日を挟んで明後日からもうマネージャーだろう?
そのためにも必要な知識を少しでも蓄えようって思ったのさ」
「へー! 参考資料とか、そういうのなんだ?」
真面目だなぁ、と感心する。
慣れた様子で階段へ進む後ろ姿は
頼もしさがうかがえた。
彼女の大好物であるスルメイカを差し入れに、
麦茶を揺らして後に続く。
本来は逆かな?
なんてったてお泊まりの回数は伊達じゃないからなぁ。
すっかり家族になったもんだ、葵ちゃんも。
また楽しく会話に花を咲かすことができるのだと
うきうきルンルン。
客観的に見たらさぞかし気色悪いことだろう。
まぁ、それもご愛好ということで。
「……あ、葵ちゃん?」
「なんだい?」
クッションに背を預け二人でくつろぐ。
しかし突っ込みたい要素が一つ。
「あの……参考資料って、
アイドルの写真集多数のような?」
「あぁ、そうだよ。
勿論私にも考えがある。
で、こう……マネージャーである私達の活力を
上げるためにも、キラキラ眩しい少年達を
目に焼き付けておこうという作戦さ!」
へ、へぇ……。
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