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片想い1 ページ2
「あんたって、好きな人いるの？」
それは唐突な問いかけだった。
女の子のおしゃべりには必須となる、「恋愛」に関する話題。
しかし、私がよっぽど男っ気がなかったのか、
その質問をされたことなど今までに一度もなかった。
されたとしても、受け流せる術は心得ているはずだった。
いつも照れてからかわれている子を横目に見て、
どうして余計に興味をひく反応をするの？
友達に悟られたくないなら、「いないよ〜」と平然に答えればいいのに、と
不思議に思っていたくらいに。
だけど。
何気なく言ったはずの葵ちゃんの言葉は思ったよりも重い。
私の……好きな人？
考えても考えても、それはある人にしか当てはまらなくて。
「い、いないっよ？」
「嘘！ 絶対いるじゃん。誰？ あ、不二とか？」
視線を斜め前の席にずらしながら、私の様子を伺う葵ちゃん。
そもそも彼女との恋話なんて縁遠いものだと思っていた。
運動部で、二時間目から早弁するような女の子が、
他人の恋愛事情に興味を持つなんて信じられない。
今だって無断で私の机にお尻をもたれかけて
立ち弁しているし……。
「違うよ、だから、あの……」
「はいはい、予想するわ。うーん……菊丸？」
次々とあげられるクラスの男子の名前。
でも一致することはなく、私も安心しきっていたが。
「もしかして、このクラスじゃない？」
「え、あ……」
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