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絡み付く糸はそのままで ページ21

オベロン「今回の件、規模が大きくなりそうだね。」

マーリン「そりゃそうだろうとも。
私達のマスターに魔の手が忍び寄っていると聞いて、大人しく黙っているわけにもいかないからね。」

オベロン「そっか。」


そこでふと、オベロンはマーリンを横目で見て静かに呟いた。


オベロン「それにしても君、昔に比べて随分とらしくない事を言うようになったね。」


その言葉を聞き、マーリンはピタリと足を止めてオベロンを見やる。
互いに思考の読めない笑みを浮かべたままだったが、先に口を開いたのはマーリンの方だった。


マーリン「……そうかもしれないね。
前までの私なら、こんな風に特定の誰かに執着したりしなかっただろう。
けれど彼と共に歩んでいく内に、いつの間にか私は感情を抱くようになっていったんだ。
正直、自分でも驚いているさ。
夢魔である私がこんな風になるなんて思いもしなかったからね。」


黙ってマーリンの言葉を聞いていたオベロンは、僅かに真剣みを帯びていた瞳を閉じると、穏やかな表情を浮かべた。


オベロン「それなら、マスターには感謝をしないといけないね。
長年感情を理解しなかったマーリンに、様々な感情を教えてくれたようだから。」

マーリン「保護者のような事を言うね…」

オベロン「でも君、ある程度理解が出来てるならロクデナシって言われる回数も減ったり……は、しなさそうだね。」

マーリン「時々さらっと酷いことを言うよね君!」


コントにも近い会話を繰り広げつつ、二人は再び歩き出す。
未だに何かをブツブツと呟いているマーリンの隣で、オベロンは緑の瞳を僅かに細めていた。






恐ろしいのは人であるとはよく言うけれど。
もっと恐ろしいのは、人ならざる者達から向けられる愛情でもあるのではないだろうか。






オベロン「……怖い怖い。」


彼に絡み付いている無数の糸を視たオベロンは、小さく肩を竦めるのだった。

無意味な誤魔化し→←静かに、されど確実に



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こし餡の信者 - わんさん» 勿論ありますよ! (2020年4月21日 15時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
わん - これは参がある感じですか? (2020年4月21日 2時) (レス) id: 8dc334f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レインさん» 返信が遅くなり大変申し訳ありません!一気読みしていただけて嬉しいです^^ 中々更新が出来ずにいますが、完結はさせるのでお待ちいただければ幸いです! (2020年4月9日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 最近一気読みしたものです。コロナウイルスなどで大変だとは思いますが、更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月2日 22時) (レス) id: d7281daec0 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レイさん» ありがとうございます!そう言っていただけると作者冥利に尽きます!更新もボチボチ頑張らせていただきますね! (2019年12月4日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こし餡の信者 | 作者ホームページ:ないっす  
作成日時:2019年7月14日 0時

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