夏合宿は知っている

ダブルブッキング ページ6

アーヤside

「よし、上杉も参加するんだな。」

若武が嬉しそうな声で言った。

「じゃあみんな、全員参加で異議はないな?」

本当に嬉しそう。

さっき上杉くんがOKしたので、若武は確実に全員参加するだろうと思っているらしい。

こういう時、若武の目はすごくキラキラしていて、本当にきれいなんだ。

私も思わず見とれそうになるくらい。

そんな若武を見ていて、少し心がズキンと痛んだ。

今まで言ってなかったけど、私、夏休みに家族旅行に行くんだ。

元々、私は夏合宿は参加しようと思っていた。

だけど、旅行が入っちゃったから行けなくなったんだ。

これっていわゆるダブルブッキングだよね。

どうして最初から言わなかったんだろう。

私のバカ。

そう思うと同時に、心の中で謝る。

ごめんね、若武。

私は意を決して声をあげた。

「あの、若武、実はね…その日、家族旅行に行く日と被ってるんだ」

「おい、アーヤ、何言ってんだ…って、ええっ⁉」

「だから、行けない。私、家族と過ごす時間は無駄にしたくないんだ。ごめんね。」

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