第一章.昔の話をしよう(10)おそ松side ページ11
「だから……僕も好きだって言ったんだよ!何度も言わせんな……バカっ」
口調はいつも通りなものの、顔は下を向いていて明らかにその声には嗚咽がまじっていた。
驚きと嬉しさが感情に渦を巻いていてそれを言葉にするのが難しく、しかし、心を落ち着かせるほどだんだんと実感がわいてきて、ついに俺の胸ははち切れそうになった。
「これからよろしく、チョロ松」
そう囁いてやると、すぐに俺に抱きついてきてチョロ松は何度も笑顔で「うん」と繰り返した。
その笑顔は、涙のあともすっかり消えていてとても可愛らしい幸せそうな笑顔だった。
帰り道。急に気まずくなり、黙りこむ二人の上を雪が優しく降った。
何か話さなければ。そう思い、話題になりそうなものを頭の中から必死に引っ張り出そうとしたもののなかなか思いつかない。
どうやら相手も同じことを思っていたようで、しかし先に口を開いたのはむこうだった。
「雪…綺麗だね」
そう言って、恥ずかしそうに笑うチョロ松がどうしようもなく綺麗に思えた。
「すげえ綺麗」
今の言葉は、どういう風に聞こえただろう。だが、当の本人は、特に何も気にしていないようなのでそれ以上俺も詳しく言わなかった。
「でも、少し寒いかもね…だいぶ積もってるし」
「足、持って行かれるなよー。まあ、そうなれば俺が助けてやるけど?」
「誰が転ぶ……うわぁ__っ!!」
言い終わる前に転けそうになったチョロ松の手を俺が素早く掴んだおかげで、チョロ松が転ぶことはなかった。
「大丈夫?」
そう顔を覗きこむと、チョロ松は顔を赤くしながらも「ありがとう」と呟いたのでなんだかこちらも面白くなって、顔を近づけた。
すると途端に唇に柔らかいものが当たったので目をまるくしていると、相手はイタズラっぽく笑ってみせた。
「これで引き分け、ね」
そう言って楽しそうなのが、お前でよかった。
声には出さないものの、俺は心の中で密かに誓う。
何年も経って年をとって、お互い腰が曲がっても俺が、チョロ松を守ってみせる。
俺は、冷たいチョロ松の手を握ると再び歩き始めた。
雪が降っていて、辺りは暗いはずなのに俺には、不思議ととても晴れているように見えた。
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チュロス@3ds垢(プロフ) - 這いよるマグロ華飛さん» 別アカ失礼致します。二度目のコメント感謝です!そう言って頂けて本当に光栄です。こちらこそありがとうございました!次作も、よろしければまた応援の方よろしくお願い致します^^ (2016年5月2日 22時) (レス) id: 42e05dc459 (このIDを非表示/違反報告)
這いよるマグロ華飛(プロフ) - はぁぁぁ!完結お疲れ様でしたぁぁぁ!最高でした…もう…たまらんです…素敵な作品をありがとうございました… (2016年5月2日 21時) (レス) id: 9e2f5dbb6a (このIDを非表示/違反報告)
チュロス(プロフ) - 雫さん» ああありがとうございまああああす!!本当におそチョロは書いてて楽しいです(笑)よろしければ引き続き応援よろしくお願い致します! (2016年4月13日 22時) (レス) id: 42e05dc459 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - おそチョロ美味しいです!更新頑張ってください`∀´♭← (2016年4月13日 21時) (レス) id: f3a05c88b6 (このIDを非表示/違反報告)
チュロス(プロフ) - ふらっぺさん» そうですよー!夫婦ですよー!!(笑)おいしいですよね^q^コメント、ありがとうございます!またお願い致します^^ (2016年4月12日 7時) (レス) id: 42e05dc459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チュロス | 作成日時:2016年4月10日 18時