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ゆいはんが、溢れる涙をティッシュで受け止める。それでも止めどなく出てきた。間に合わない。今の世代は「ゆうこ」と言えば、9代目ゆうこのことだと思うかもしれない。
…………誰にも、メンバーにも言えないけれど。アタシにとっての【大島優子】は今も貴方だ。グループの中では後輩に弱い姿を一切見せなかった、いつも気を配るムードメーカー。咲和先輩が、一番その名前が似合うよ。大好き。
決めた。アタシは…………
『みぃちゃん。私が貴方を好きになったのは夢でも幻でも、一瞬の本能の迷いでもないよ？』
『…………ありがとう』
Aはすごいなぁ。彼方や凪沙が噛み付いても怯まない。同期で研究生。普通、これからの人間関係どうなんだとか気になるものなのに。いつだって推しメンの味方。ファンの鏡にも見えた。だけどそれは自分も。
アタシも正直、みぃちゃんにはそこまで怒ってない……というか怒れない。たしかに秋葉星が攻撃をされたのは彼女のせいだった。簡単に許せるものじゃないとも思ってる。それでも、もし。
「咲和先輩。先輩は、みぃちゃんを信じているんですよね？」
「…………うん、ごめん。才加たちは違うのに、」
「何言ってるんですか。謝らなくていいですよ！」
みぃちゃんのことを告げられてから、初めて目が合った。
今なら届くかもしれない。驚いたままの先輩に言ってあげる。
「まあ、みぃちゃんを信じるのは難しいかもしれません。でも先輩の
「も、もんさんだけやないよ！ うちも！ 咲和はんがきっかけをくれたから、うちは本当の意味で00の一員になれたんです。みぃちゃんが
「才加、由依……」
アタシたちじゃ頼りないだろう。しーちゃんや、さしこみたいにはできないかもしれない。だが、それなら荷物を分けてもらえるまで言葉をかけ続けるから。涙を掬うぐらいならできる。だから、一人で抱え込まないでください。貴方も、みぃちゃんも。
先輩は残りの水分を拭うと左手はアタシ、右手はゆいはんの頭に載せた。咲和先輩はよくメンバーの頭を撫でたけれど、みんなにするわけではなかった。呼び方と同じ。実は、特に親しい後輩だけなんだ。
「……ふふん」
嬉しくて、自然と笑みがこぼれた。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
