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入室してきたのは美森さん。才加さんと佐江さんも一緒だ。なんか、あまり見ない組み合わせ。
「よ、よぉ。お疲れだぜぇ〜」
「美森！？」
……美森さん、いつもより肌の露出が少ない気が。ジャージの長袖を着て、しかも上までチャックを閉めているなんて初めて見る。
言葉遣いも、何だか才加さんみたいだ。一体どうした。
……だが、そう思った矢先。やはり暑かったのかダメだと言いながら前を一気に開ける。胸が苦しい、首も詰まって暑いと髪を持ち上げて首の後ろに風を通していた。
「くぉらっ、またフェロモンが出てる！ まだまだ修行が足りないな！」
「えっ？」
「寮の周り、もう十周走るよ！ ……ん、A帰ってたんだ。アンタもどう？」
「あはは、遠慮しまーす」
「邪魔したね」
才加さんは美森さんを俵のように抱えて行ってしまう。やだぁ〜と、囚われた美女の声が廊下から響いていた。いや、何しに来たの。
見ていただけの佐江さんが扉を閉めて、ここはまた四人だけになる。そういえばこじはるさんたちも何していたのか結局まだ聞けていない。
「フェロモン上げげ大作戦だよ〜」
「上げげ……？ なら、美森さんは反対に下げげ大作戦に捕まってたのかな」
「フェロモンって……」
「手に入れるより、失う方が大変なんすかねぇ？」
「う〜ん……。アレは特別じゃない？」
ほらほら、二人とも再開するよ。こじはるさんがパンパンと手を叩いた。面白そうだから見学してようっと。
壁で日陰になっているところにしゃがもうとしたら嫌な震えを感じた。良い気分が急降下するのを感じる。さすがに無視できないか。震えの原因である携帯を取りだした。
今度は未登録で、数字の羅列のみ。でも私はこのナンバーが誰のものかを知っている。
「……A？ どうかした？」
「なんでもないです。お気遣いありがとうございます。すみません、ちょっと電話してきます」
返事される前に大股でレッスンを出る。こんなところにいたら誰かに聞かれるかもしれない。人が通りかからないところへ行こう。
それで静かな所へ移動。着いた時には着信は切れていたけれど、このままにしてもおけないから。深呼吸を一度して、リダイヤルをする。コール音が三回目のときにそれは繋がった。
「久しぶり。………連絡してくるなんて思わなかった。燈」
やっぱり着拒にしておけばよかった。
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■瑠璃川 燈
アカリ、又はトモル。読める方でどうぞ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
