90 ページ40
勢い良く開けられた扉はクロークを明るくして全てを曝け出す。
片方のヒールが脱げて、髪もドレスも乱れた泣き顔の私と、
私を身体で押さえつけ、片手をドレスの中に忍ばせたまま振り返るミンジュン。
私達を見つけた瞬間、切れ長の両目をかっと見開いたまま瞬きすら忘れた様子で固まるテテ。
そんな張りつめた空気の中でミンジュンの溜め息混じりの舌打ちが響いたのと同時に、状況を理解したテテがものすごい形相で彼を私から引き剥がす。
TH「てめぇ・・・っ！！」
「っ！テテっ、ダメっ、」
テテが彼の胸倉を掴んで、片方の手で拳を振りかぶるからまずい、と思って震えながらも声を出したけど、想像してたより鈍い音と、殴られた衝撃でミンジュンがクロークの外に倒れ込む音にかき消された。
テテは追いかけて倒れ込む相手に馬乗りになって拳をまた上げようとしたら、‘おいっ！’とミンソクが殴る直前の拳を抑えて、後から来たジョンデと一緒に暴れるテテを彼から引き離すのが見えた。
SR「A！」
放心状態の私にサラが駆けつけてきて、大きなストールを身体に巻き付けるとそのままぎゅう、と抱きしめてきた。
SR「大丈夫！？痛いとこない！？」
「う、うん、」
SR「ああ、こんな震えて、」
「サラ、ね、テテが・・・っ、」
サラが痛い程に抱きしめてくれている間もテテは今にも跳びかかりそうな勢いで。
今まで見た事ない程に憤慨してる。
TH「てめぇ！Aに何してたんだよっ！！」
MS「おい！やめとけ！」
TH「離せ！殴らせろ！！」
JD「テテ！落ち着けって！」
暴れるテテの目の前で倒れてたミンジュンが‘・・・いってぇな、’と口元を拭って、さも面倒くさそうに立ち上がり、スーツをはたきながらテテを睨みつける。
MJ「何だよ、邪魔するなよなぁ」
TH「うるせぇ！何してんだって聞いてんだよ！！」
MJ「見たらわかるだろ？ちょっと昔を思い出して楽しもうとしてただけだって」
TH「ふざけ、」
MJ「あ、お前も寝てんの？あいつは楽だろ、」
テテを遮ってそう言うと、あの目付きで嘲笑うように私に視線を送ってきて。
ドクン、と心臓が嫌な打ち方をする。
やだ、待って。
何、何を言おうとしてるの。
心臓が早鐘となって胸を突き続けるから、掛けられたストールを胸の辺りでぎゅうと掴むと、
MJ「子供出来る心配ないから、何も考えずにデキるもんなぁ」
彼の卑下た笑いで言い放つ言葉が響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2639人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みあも(プロフ) - こんにちは！クズ元カレと再会したシーンでは思わず泣いてしまいました。テテの包み込む優しさに涙が(;;)本当に素敵で大好きな作品です。この作品に出会えてよかったです。ありがとうございました！ (2021年6月7日 9時) (
レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高でした。所々、私自身も涙を流してしまいました。。。 感動的で時に少しHな部分もあってすごく楽しめました。ありがとうございました。 (2021年3月30日 17時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
りーりー - 早く結ばれろって毒付いてたけど(すみませーんw)好きな人＝付き合いたい人とは違うって思いました。← (2019年10月5日 7時) (レス) id: 37e0abcb10 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 長くなってしまいましたがこんな素晴らしい作品を読ませていただいて心から感謝します。これからのアウラ様の幸せを願っています！ (2019年4月11日 23時) (レス) id: 65b302e09c (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 共感できるし、何より自分も子供好きだからこそ辛い事とかも…そんな寂しさから何となく男の人を求めてしまうのも、軽い関係だけで終わらせたいと思うのも。何だか自分語りみたいになってしまって申し訳ないのですが夜にギャン泣きしてしまうくらいには感動したので (2019年4月11日 23時) (レス) id: 65b302e09c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アウラ
| 作成日時：2017年11月11日 21時
