*Bonds*16

３ ページ9

翔side


・


ホント，和は愛されてるよねぇ。

具合が悪い…って聞いたらさ。


雅紀と潤，仕事に行こうとしないんだもん。



でも，ね。

それで仕事を休んだら，責任を感じるのはきっと和。

だから，２人は後ろ髪を引かれるような思いで，さっき家を出たところ。


「……しょ…にぃ…仕事やすみ…っ…？」

ったく，いつもは俺らのこと呼び捨てなのにさ。


熱出たり，不安だったりするときに出てしまう，和の癖。




さとしにぃ，しょうにぃ。
まさにぃ，じゅんくん。


甘えたような，可愛い声で，俺らのことを呼ぶ。


「さとしにぃは？」

「んー。お仕事は疲れたから，今日は休むの。」

「いいのー？…っ，げほ！ごほ，ごほ…っ。」


トントン…



背中をさすられながら，辛そうに顔をゆがめる和だけど，
その表情は，ニコニコと和らいでる。


「和ー。冷えピタ貼るからなー。ちょっと冷たいよ。」

「…子ども……じゃ，あるまいし…げほっ，ごほ…。」

「……もう，可愛いなぁ，おい！」




小学校から，俺と智兄が，『ブラコン』って呼ばれる理由。


それはきっと，こういう面があるからなんだろうな。

愛しそうな目で，和を見つめる智兄を見てると，確かに『ブラコン』でも納得してしまう自分。


「んふふ…しょーちゃん，なに見てんのさ…げほっ。」

「んー？和は可愛い顔してんなーって。」

「ばっ…。」



顔を真っ赤にさせて，うつむく和。

あのね，和はさ。


さっき『子どもじゃあるまいし』って言ったじゃん？

けど，俺らにとっての和は，いつまでも俺らの弟で，いつまでも可愛い子どもなんだよ。

４→←２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す