*Bonds*16

恐怖の一週間＊雅紀 ページ37

ちーさまリク


・


雅紀side


「…ｯ……。」

あ，まただ……なんて。

電車の中でそう思ったのは何回目だろうか。


イヤホンつけて，いつもスマホ持ってる人。

そいつが俺の隣にすわった瞬間，今日も俺の恐怖が始まった。




ここのところ，ずっとこの人が隣に座ってる。


必ず，隣に…。





＿＿いや，それだけじゃない。


下りる電車も同じで。

そっから寄り道したラーメン屋にもいて。

帰り道も，ずっと後ろに誰かがいるような……………




「っはぁ…。」


言いようのない不安を覚えて，俺は下を向く。




大丈夫，大丈夫……。


落ち着け，自分。




あいつも…帰り道が一緒のだけ………っ。


自分に何度も言い聞かせる。




＿＿だけど，


……だけどっ




ずっといるんだ。


俺の後ろに。

俺が家に入るまで，
ずっと感じる視線。



耐えられなかった。


「はっ，はぁっ，は…。」



荒くなる呼吸。

そろそろ，限界が近づいてた。

あの男が俺についてくるようになって5日が経って。


だけど，そんな俺に追い打ちをかけるように…






『ある事件』が起こったんだ。

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