*Bonds*16

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和也side


・


爆発しちゃった感情を止めることはできなくて。


頭に浮かぶ，あの風景。

冷たく嘲笑う，俳優さんに，
コソコソ喋ってるスタッフさん。

俺をにらみ付ける監督さん。


そして，共演者でさえも。



まったく，俺に話し掛けようとはしない。





ドラマの撮影のクランクインの日は，こんなんじゃなかった。

みんな優しい人たちばかりで安心してた自分が馬鹿みたい。



「っもう，行きたくないよ……っ。」

……あんな，場所。

……あんな人たちがいる…



「撮影…やだっ…。」

「え……っ。」



翔ちゃんが息をのんだ。

驚いたような表情で俺のことを見つめてる。



「撮影……？」

ずっとずっと，隠してたけど。


このまま１人で抱えるのは限界。

そう思ったから…。



「これ…。」

「っ…。」


見せたんだ。

お腹に残る，今まで殴られたあとを。




「だ，誰にっ。」

「これ…は。共演者の俳優さん。」

「……背中も。」

「もうね……いたく…ないっ。あとは…残ってるけど。いたく…ないっ…！」


言いながら，こんなに涙が出てくる理由は何。

なんで，胸が苦しいの？

痛いの…？




ぎゅっ


突然，温かい胸の中に包まれた。




「しょ…ちゃ…ん。」

「痛くないわけないじゃんか。心が泣いてる。ニノ…っ。」

「翔ちゃん…っ。」


優しい翔ちゃんに。
涙が……溢れた。

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