*Bonds*16

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潤side


・


この声は，知念の声だった。

後輩グループの。

だからなおさら。こんな高熱出してる状態で話して，
風邪を移したりなんて絶対できない。


だから，鞄の中にたくさん入れてあった，使い捨てのマスクをつける。



気怠い動作で，ノロノロやってたら，

がちゃっ


扉が開く。




「っ…ん，知念。久しぶり。」

「返事なかったから，いないのかと…。あれ，マスクどうしたんですか？」

「ん？予防。季節の変わり目，風邪流行るし。」

「ああ。なるほど。」



「ところで，どした？用事？」

「この前の，ワクワク学校とかのお礼で。」

「わざわざ？」

「わざわざ…なんてそんな。これ，差し入れに……かな…って…思った…ので。」


一瞬聞こえた耳鳴り。

その音に遮られて，途切れ途切れしか聞こえなかった，知念の言葉。


だけど，小さな包み紙を差し出してるから，





「あ，さんきゅ。」


それが俺への差し入れだってことは分かった。



「これ，すごい美味しいんですよー。メンバーのみなさまの分もありますので。」

「っ…ありが…と。」


やべ…



段々，白く霞んでいく知念の顔。

「はぁ…っは…。」

「じゅ…くん…？」


ああ，駄目。

後輩に，心配かけちゃ……だめ…っ。

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