*Bonds*16

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翔side


・


「先帰っちゃってたねぇ，相葉ちゃん。」

「うん。まー，メンバーのスケジュールもそこまで把握してたらこえーもん。」

「えー，けど，翔くんはぜーんぶ把握してるじゃん。」

「ふはは。まーそうだけど。」


実は，今日一緒だったんだ。

撮影場所が，雅紀と。


それで，まだ，雅紀いるかなーって，智くんと覗いた楽屋。

けど，そこは，電気も消えてて，誰もいなかった。




最近，会う機会が本当に少なくて，会えるかなーって楽しみにしてたから，ちょっとだけ残念。


いつも通り，駐車場に行こうとした。

そんなとき……




「ううっ，はぁ，はぁ…っはぁ，げほ…くっ…。」

聞こえてきた荒い呼吸に泣き声。


ぎょっとして，智くんと目を合わせる。


こんな時間に，誰…が，泣いてる…？




駐車場に響いてるその泣き声。


だけど，聞いているうちに，その泣き声が，彼奴の声に聞こえてきた。





「これって…さ。」

「うん，相葉ちゃん…。」


一気に不安になる。

意外と繊細で寂しがり屋のくせに，人の前では絶対に涙を見せない彼。



なにかあったんじゃないかって。





足音が響く，怖いくらい静かな駐車場に呼びかける。



「雅紀？」

「…うっう，げほっ…はぁっぐずっ…。」

「雅紀………。」


どんどん近づいてくる泣き声。



そして，ようやく見つけたんだ。


柱の影で，小さく丸まった雅紀を。

その背中は，激しい呼吸で何度も何度も大きく動いてた。

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