*Bonds*16

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雅紀side


・


「っ……。」


必死に振り返った俺の目に。

信じられないものが映って，そのまま固まった。




光の反射を受けて，キラリと光るそれ…は………っ


「…な，いふ…………っ。」



本物の…
ナイフ…？ほうちょ…う…っ



けど，それが，刃物であることは間違いなくて。

「やっ…だ，…や，め…っ。」


その顔に見覚えはあった。

いつも，電車で見る，あの男。


けど，いつもと違うのは………




「スタッフ……。」


そう，


ある番組のスタッフが持っている服を着ている…ということ。




「っ…。」

ニヤリと笑ったそいつ。


俺は，あいばかってニノから言われてるけど。

でも，そんな頭でも，その笑みの意味なんてすぐ分かる。




男が，刃物を振りかざした。

まぶしさに目を細める。



「っ…っっ…！」


もう，駄目………っ




そう思って，目を閉じたとき。



プルルルッ


けたたましいくらいの音で，俺の携帯がなった。




カラッ…ン…


刃物が落ちる。

男は慌て始めた。




震える指で，通話ボタンを押す。


「もしっもし…！」

『あー，相葉くん？道がこんでて…』

「まねー…っはぁっ，今…ッ……」


もう，必死だった。

助けを求めることに必死で……



「チッ…。」


あいつの舌打ちが聞こえる。

遠ざかる影。




一気に，体から力が抜けた。


「っふぇ…まねっ…今…ちゅうしゃ…じょっ…。」

『ちょっと相葉くん！？どうしたの。』

「ひくっ…うう…まねっこわ…，こわい…っ。」

『ちょっと待っててくださいねっ。できるだけとばしますっ。』

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