第百七十九話「目」 ページ19
パタン、
と、
静かに襖を閉め、
窓を見ると同時に、
心臓が止まりそうになった。
・
先ほどまで真っ暗だったこの部屋に、
明かりがさしていた。
いや、正確には明かりではない。
明かりにも見える、その白い髪、赤い目。
A「……『風間』」
ゆっくりと、息をつく。
そうでないと、呼吸ができなくなりそうで。
私の目の前にいる人は
本当に、風間千景なのか
目が、瞳が、私を見ていない。
風間「…A、待っていた」
その声に、肩をびくりと跳ね上がらせる。
彼の声は、こんなに冷たかっただろうか。
彼の目は、こんなに…赤かっただろうか
A「……風間……新選組の屯所に羅刹を送ったのは、君だね」
風間「…あぁ。
お前は、その程度ではなんとでもなかったか」
A「……。」
風間「来てくれてうれしいよ、この屋敷に。」
A「……風間、………どう、したの」
なんだか、様子がおかしい。
いつも活気にあふれているような、
自信満々の笑みも、
自己中心的な声も
まったく感じられない。
恐る恐る聞いてみると、
風間は優しく……いや、冷たく、笑った。
風間「お前も、嬉しいだろう
ようやく、此処で一緒に死ねるのだから」
A「……？
此処で、死ぬ…って」
何を言っているのかが分からない。
私が一歩下がると、
追い詰めるように、風間も一歩前に出た。
風間「この屋敷には火が放たれた」
A「……っ」
風間「それでなくても、お前も、俺も
もう、長くはないだろう」
A「まさか…………」
風間も、もう先が長くはない。
そんなことは鬼である彼には、本来、ありえないことだ。
しかし、それがあり得るというのならば
彼は…。
A「変若水を、飲んだの…？」
風間「あぁ。正解だ。
これで、お前も一人ではない」
A「…一人では…ない？
まさか、日本製の…最初の変若水を！？」
私の飲んだ変若水を飲んだというのならば、
・
確実に、生き残ることはできない。
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前田のさぶ(プロフ) - 初めてこんなに感動しました、とても切なくていいお話で涙が止まらなかったです。夢小説でこんなに感動したのは数年で初めてでした本当にありがとうございます！🥲お疲れ様です😌😌 (2022年8月31日 11時) (
レス) @page36 id: aeb32198b3 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高から一気に読ませていただきました。このような最高な作品を作ってくれてありがとうございます！本当に涙が止まりませんでした。本当にありがとうございます！何度でも読み返していきます。 (2021年7月16日 4時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 最高でした…。 (2021年3月18日 22時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
彗羽(プロフ) - 泣きました。とてもしあわせな作品をありがとうございます。アニメにそうのではなく、オリジナルの展開がたくさんあって、本当に楽しく読ませていただきました。また、読みます。何度でも読みたくなるお話でした。 (2018年12月16日 13時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最初から読ませていただきました！ほんとうに素晴らしい作品です！！ありがとうございました！ (2018年8月9日 17時) (レス) id: 534d1c515e (このIDを非表示/違反報告)
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