第百十六十七話「紅葉」 ページ7
世界はもう一度暗くなる。
次に私が目を開けたのは、桜の花びらの下。
そして、風間の上だった。
・
風間「……」
A「負け、認めてくれる？」
僕が彼に馬乗りになって、愛刀を首にかける。
まさか、きるつもりはさらさらないけれど、
彼を降参させるつもりではいた。
桜がひらひらと舞い降り、彼の白いほほにのる。
それを振り払うように、彼は首をふった。
風間「……認めん。
俺は負けてない。」
A「……」
なんて頑固な子なんだろうとその時は思った。
彼はまったく負けたと思っていない。
こうして、首に刀をかけられているのに、だ。
しかたない。
僕は彼を殺すつもりはないし、ここは僕が引くべきだろう。
A「じゃぁ、引き分けだね」
風間「……おもしろい」
僕が諦めたように言うと、彼は小さくつぶやく。
それに同情するように、僕も微笑んだ。
・
・
・
・
A「千景君と僕が、仲間になったことを形にしよう」
そう言いだしたのは、僕だった。
握手なんて、父上から聞いたことがあるだけで、実践などしたことはないけれど、
彼の冷たい手が、僕の手にあたって。
なんだか胸があつくなるような感覚がして。
この時、初めて千景君の笑顔を見た。
・
・
・
まだ焼かれていない、桜の木。
炎に包まれたそれは、いつもより美しく見える。
A「千景君、ここにいては危険だよ。
…人間と、鬼との戦いが行われているらしいから。」
これは、僕の最後の記憶だ。
悲しそうな顔をした千景君が、いつも通り、桜の木の下にきて、
僕は困惑した顔でそういった。
そのあと、彼がなんと言ったかは、僕にはわからない。
その時にはもう、
僕の意識はーーーーー……………。
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前田のさぶ(プロフ) - 初めてこんなに感動しました、とても切なくていいお話で涙が止まらなかったです。夢小説でこんなに感動したのは数年で初めてでした本当にありがとうございます！🥲お疲れ様です😌😌 (2022年8月31日 11時) (
レス) @page36 id: aeb32198b3 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高から一気に読ませていただきました。このような最高な作品を作ってくれてありがとうございます！本当に涙が止まりませんでした。本当にありがとうございます！何度でも読み返していきます。 (2021年7月16日 4時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 最高でした…。 (2021年3月18日 22時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
彗羽(プロフ) - 泣きました。とてもしあわせな作品をありがとうございます。アニメにそうのではなく、オリジナルの展開がたくさんあって、本当に楽しく読ませていただきました。また、読みます。何度でも読みたくなるお話でした。 (2018年12月16日 13時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最初から読ませていただきました！ほんとうに素晴らしい作品です！！ありがとうございました！ (2018年8月9日 17時) (レス) id: 534d1c515e (このIDを非表示/違反報告)
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