第四十九話「意思」 ページ9
A「斉藤君っ」
廊下をぱたぱたと走りながら、彼の名前を呼び続ける。
土方や沖田君、原田に見つかったら彼の姿を見ることもできないまま部屋に連れ戻されるだろう。
しかし、その時の私にはそんなことを考える冷静さも余裕もなくて
家出した母親をさがす子供のように必至になって彼を探し続けた。
・
そして、運よく、誰にも会うことなく、彼を見つけた。
彼が立っていたのは、自分の部屋でも庭でもなく、私の部屋だった。
・
斉藤「どうした、そんなに走って・・・傷が開くぞ」
私の姿を目に入れるなり、無表情な彼が私の腕に優しく触れる。
そのしぐさが昨日の山南と重なり、一瞬どきりとしたけれど、でも、彼の触れ方が昨日の山南とは全く別もので、
なんだか安心できた。
A「・・・傷は、大丈夫。・・・私は貴方を探していた。今までどこにいたの」
そう言うと、彼は幾度か瞬きをして、ふっと笑った。
斉藤「俺もあんたを探していた。」
その目があまりにも優しくて、私はちょっとひるむ。
A「・・・・山崎君から聞いた。斉藤君、伊東派に同行するって」
斉藤「あぁ。そうだな」
A「でも、それは貴方の意思じゃない」
強い瞳でそう言うと、彼は自虐的にほほ笑む。
斉藤「そうだな。・・・しかし、俺は行くと決めた」
A「どうして。怖いと言っていたのに」
あんなに土方から離れるのを恐れていた彼が、今、伊東派にひとりでスパイに行くことを決意している。
それが不思議でならなかった。
たしかに、彼は土方の命だとしたら迷わず行くだろう、
しかし、それが彼の意思でないのであれば、私は彼を止めたい。
斉藤「正直、今も恐れている。自分が役目を全うできるのか、・・・平助を、連れ戻せるか」
A「なら・・・」
斉藤「しかし、俺は強くなりたいと願った。・・・自分の意思だけで、行動を起こせる人間になりたいと。
ただ力を持つ人間ではなく、誰かを変えるほどの意思を持つ者になりたい」
A「・・・」
斉藤「俺は強くなって此処に戻ってくる。・・・平助も連れて。」
私はそれ以上なにも言うことはなかった。
言いたいことはあった。
しかし、彼のまなざしがあまりにも優しすぎて、それ以上に強い意志を持っていて。
・
「ありがとう」
彼は短くそう言うと、私に背を向けた。
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雨。 - あの、近藤さんって千鶴のこと、千鶴ちゃんじゃなくて雪村くんって呼んでた気がするんですけど……。間違えてたらすいません。 (2018年10月8日 21時) (
レス) id: 007f5cd962 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - すすすすうっっっっごく面白いです！文才ありありですね！文章の世界に引き込まれちゃいます！ (2018年3月27日 0時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
黒猫白夜(プロフ) - 鎖月零さん» wwwwそうですね、仲間がいれば怖いものはないんでwwww (2015年3月8日 17時) (レス) id: c0b1c989b7 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黒猫白夜さん» はい！是非ｗｗｗ成績がだんだん降下しても気にしない心を持つ仲になりましょｗｗ (2015年3月8日 16時) (レス) id: be1d50e619 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫白夜(プロフ) - 鎖月零さん» wwww同じですねwwwwもし、鎖月零さんが3DS買ったら仲良くしましょーねwwww (2015年3月7日 21時) (レス) id: c0b1c989b7 (このIDを非表示/違反報告)
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