〆24:失った感情 ページ26
A「……なるほど、こうしてお揃いのものを持つことで、繋がりを認識できるということですね?」
黄瀬「まぁ、そうともいうっスね」
ピンク色のイルカのキーホルダーと、水色の同じイルカのキーホルダーを手に持ち、納得したようにこくりとうなずく彼女。
ペアものを買う気になったのかな、と思い、彼女の顔をのぞいてみれば
なんとも興味のなさそうな顔をしていた。
A「……よく、わかりません」
黄瀬「ペアをする意味がっスか?」
A「はい。……まず、男性と女性という面で好みは全く違うはずです。一緒のデザインが好きになる確率はかなり低いといっても過言ではないですよね。
それにもかかわらず、カップルはペアのものを買う。……これは、どちらかが好みを妥協しているとしか考えられません」
黄瀬「……んー、まぁ、そうっスね。……大体女子がほしいものを男子が買うんじゃないっスか?」
A「料金は双方払うんですよね。……それは、無駄な買い物というのではないでしょうか」
ここで、「大体は男子が払うことが多いっスね」なんて言えば、彼女はもっとよくわからないといった顔をするのは目に見えている。
オレはあいまいにその言葉にうなずいて、そのペアグッズのあるコーナーから出て行ったのだった。
・
・
それから数時間後。
水族館を見終えたオレたちは、近場のカフェでお茶をするとともに、今日の研究結果のようなものをまとめていた。
ブラックのコーヒーとザッハトルテを目の前にした彼女は、
それらに目もくれずにメモ帳になにやら書いている。
黄瀬「何書いてるんスか?」
A「今日学んだことです。……イルカのオブジェがあるアーチの下でキスをするとそのカップルは永遠に離れることがないという迷信や、水族館は手をつなぎやすいなどといったことなどを」
黄瀬「な、なるほど。……で、何か学んだことはあるっスか?」
アイスティーを一口のんで、そう聞くと
彼女はペンを一回とめ、小さく首を振った。
A「……わかりませんでした。……カップルは迷信を信じ、出歩きたいのに密着を要求し、いつでも繋がりを保っていたい……。理屈はわかるんですが、意味が分かりません。
なぜ、触れたいと思うのか。
なぜ、繋がっていたいと思うのか。
私には、その感情が……まるで失ってしまったかのように、わからないんです。」
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» コメントありがとうございます!一章は割とラブコメしてますwあの塩しかないツン99%の琥珀ちゃん可愛いとは!変わり者ですね!?((頑張ります! (2017年6月30日 12時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 今、一章のほうを読み終わりました!めちゃくちゃ面白いです!塩対応夢主ちゃん、可愛すぎます。続きがきになりますね( *´艸`) これからも頑張ってください!! (2017年6月30日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - xx00xx4280さん» ありがとうございます!伏線回収まで時間かかりそうですが、なんとかいいエンドをつづれるように頑張りますので、今後もよろしくお願いします!! (2017年4月26日 16時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - ねこ汰。さん» コメントありがとうございます!きゅ、キュンキュンしますか?うれしいです。少女漫画のノリを目指しているので!更新頑張ります! (2017年4月26日 16時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
xx00xx4280(プロフ) - お上手です!伏線を回収して上手くエンドを迎えられるようにお祈りしております。 (2017年4月9日 21時) (レス) id: ceb43f3a9d (このIDを非表示/違反報告)
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