【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

20 日目 ページ27

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｢ … 教室になんて とても行けませんでした 。何も考えずに家を出て ､ 気付いたら保健室の前にいたんです ｣



長くて 言葉に詰まりながら伝えたまとまりのない話 。


センラ先生は 何も言わずに ､ ただ待って 最後まで聞いてくれた 。




せ ｢ そっか ｣



たった一言だったけど その声はとても優しくて 。



話している時には出なかったのに ､ 先生の声を聞いた瞬間 ､ 涙が溢れ出す 。




まって 。とまって 。




｢ ぁっ … ､ … ぅ …… ｣



せ ｢ …… ごめん ､ 今だけ ｣




隣で先生がそう呟いたと思えば ､ 突然 私の体が前に倒れる 。




体が温かいものに包まれた 。


少し息を吸えば 大好きな香水が香る 。




私を抱きしめる先生の手は 力強くて ､ だけど 痛くない 優しい手 。




しっかりと私を抱きしめながら 片方の手を私の頭の上に置く 。




せ ｢ しんどかったなぁ ｣


｢ … っ …… は ､ ぃ … ｣




先生の声に ､ 口が勝手に動く 。


頭なんて 働かなかった 。




せ ｢ 辛かったなぁ ｣


｢ … んっ …… つ ､ らかっ … た … ｣



せ ｢ ここまでよぉ頑張ったなぁ ｣


｢ … そ … なこと … なっ …… ｣




せ ｢ んーん ､ Aは頑張った 。えらいやん ｣




そう言って ､ 私の頭を撫でるのをやめて ､ ぐっと腕の中に引き寄せた 。


さっきまでよりも 先生の腕に力が入る 。




｢ ふ ､ ぅ … うぁぁぁぁぁあん ｣




枷が外れたように 子どもみたいに声をあげて泣いた 。


こんなに思いっきり泣くのは 何年ぶりだろう ｡




思えば 両親が亡くなった時から 泣いたことなんてなかった 。



無意識に泣かないようにしていたのか ､ 今まで溜めてきた分の涙は 止まることを知らない 。





せ ｢ 今までの分 いっぱい泣いたらええよ 。落ち着くまで いつまででも待ったる ｣


せ ｢ 大丈夫 ､ Aとセンラだけの 秘密や ｣





大好きなその声に身を任せるように ､ 目の前の先生の胸に 顔を押し付けた 。




今だけ 。


今だけ センラ先生に甘えさせてください 。




その間 ､ 先生はずっと私の背中を トントンしてくれていた 。




今まで以上に 温かくて優しい時間だった 。




このまま 時間が止まればいいのに ___ 。


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ちなみにこの回は 作者の妄想回です ( 全部 )

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