【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

8 日目 ページ10

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将来の ､ 夢 ……



考えたことなんてなかった 。


きっと このまま 臆病なままの私で 毎日 終わってくんだって思ってた 。




具体的な目指す職業なんて ない 。




だけど ､ 私には ずっと叶えたい夢がある 。




｢ 私は …… ｣




すっと センラ先生に向き直る 。



ふと合った目は 何か 私の中の全てが見透かされているようで ､ だけど ､ 綺麗な琥珀色の瞳に 不快感は感じなかった 。





『 私は センラ先生みたいになりたい 』




これだけ ､ この一言が言えたら 。



だけど 生憎 本人を前にそれを言う勇気は 持ち合わせてない 。




｢ …… 秘密です ｣



思わず 目を逸らして答えれば ､



せ ｢ そっかぁ ､ ならいつかは 教えてな ? ｣



と 悪戯っぽく笑って頭を撫でるセンラ先生 。





なんでもない ､ こうして 先生と話す時間がとても心地よくて 。





そんな心地よさに身を任せ ､ 時間の流れが進んでいけば ､ あっという間に下校時間 。



窓の外には ､ ちらほらと 校門の外へ出ていく生徒たちの姿 。




せ ｢ ほんなら 行こか ｣


｢ … いつもすみません ｣




小さく呟いた謝罪は 届いているのか いないのか 。



白衣を脱いだ代わりに 黒いロングカーディガンを羽織って 鍵を手に取る先生 。



もう片方の手を 私の方に伸ばす 。



せ ｢ ほら ､ おいで ? ｣



ふわぁっと笑いかけてくるセンラ先生に 小さく頷き ､ 素直に 先生の差し出した手を握る 。




いつも ふわふわしてて 優しい先生だけど ､ 握った手は 少し骨ばってて男の人だなぁ って 。




そのまま手を引かれて 保健室を後にする 。



途中で 浦田先生に会う …… なんてこともなく ､ 人通りの少ない廊下を通って 裏口から外へ 。




せ ｢ 手 細いなぁ ､ ちゃんと食べとる ? ｣


｢ …… た ､ べてます ｣



痛いところをつかれ ､ 少し遅れて返事をすれば こちらを振り向いて 足を止める 。




せ ｢ 嘘はあかんよ ? センラ お見通しなんやで ? ｣



ぷく ､ と 頬を膨らましながら ､ 少し屈んで私に目線を合わせる 。



そんなあざとい仕草が様になる先生って … 。




思わず 見惚れていれば ､ 先生の指が トンっと 私の額を押す 。



せ ｢ これっ ､ 聞いとるかぁ ? ｣



なんて 顔を近付けてくるもんだから ､ 慌てて首を縦に振った 。

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