私の主役は私じゃない？

No.30 呼び出しって何もしてないのに緊張する ページ33

部屋でまったり怪我人ライフを過ごしてる私ですが

唐突な来訪者(同僚)

「キョウカ」
『んむ、どうしたの』

ノックをしたことに褒めてあげると馬鹿にしてるだろと怒られる。バレたか。

「呼び出しよ」
『え』

誰からだよ。はなみか？絶対に行かねぇよ？？

「総統、グルッペン様から」
『は？？？？？？？』

今世紀最大の「は」が出たわ。今何て？総統？総統直々に？なに？は？？辞令でも出されんの？

「嫌そうな顔しないの、ほら行くよ」
『心の準備できるまで待って』
「それ何分？」
『今世紀は使うな』
「ふざけんな」

友人は松葉杖を私の手に握らせ、無理やり立たせる。やめて！体は(見たいから)正直なの！

「行くよ、私もついてってやるから」
『女神じゃん』
「何当たり前のこと言ってんの」



杖をつく私と同じペースで歩く彼女。

唯一いじめに加担しない彼女は、気のおける友人だ。今も昔も。あとノリがめちゃめちゃいい。最高。

「・・あんた変わったわよね」
『え』

くられ先生と同じこと言うな。やっぱ長年の目からだとわかるのか。

『そんなにかな』
「うん」

疑われたか？と顔を覗いてみると、彼女は嬉しそうにこちらを見る。

「前までは死にたくないって死にそうな顔で言ってたのに。今は生き生きとしてる」

それは私じゃないからね。私じゃない、彼女だったから。そう考えると、友人に対して不誠実なことをしている気がする。君が接してる私は、君の友人じゃないんだ。

『・・死ぬのもあいつらのする事も馬鹿馬鹿しくなっただけだよ』

本当の事を言っても受け入れてもらえないだろう。先生は特例だが、彼女は一般の人間だ。彼女ではないと友人が知ったら、驚くし混乱する、そして罵声を浴びせられるかもしれない。

あの子はどこにやったの、とかさ

『・・・』
「ふぅん、そうなの」

いつかきちんと話そう。私は彼女に嫌われてもいい。だが、この子を嫌いになってほしくない。

彼女は足を止め、私の前にひらりと立つ。

「私、貴方がそう言うのずっと待ってたのよ」
『・・待たせたね』

私も、そして彼女も、少し泣きそうになりながら。嬉しいとかの一つの感情ではないなにか複雑なものが、二人の間で流れる。

「あんたが何隠してるか知らないけど」

バレてる。

「最後はその秘密、酒のつまみにしながら話してもらうからね」
『・・なんなん、みんな私のこと泣かせにきてる？』

悪戯っ子の笑みを浮かべる彼女は、泣くなよ、なんて酷いことを言う。

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