気に食わない悪女 続

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私の母は、それは美しい容姿だった。幼い頃私は写真に写る母を見てとても強い憧れを抱いていたことを覚えている。
多分、その日が私の記憶にある限りでは初めての対面だったと思う。


私を部屋まで連れてきた小柄で内気そうな使用人はあわあわと焦るように扉の前で私に母はとてもいい子がお好きですから、とてもいい子でいらしてくださいね。と言った。私はすかさず元気良く頷いたが未だにその使用人は心配そうな面持ちだった。

そんなことに構わず私は扉の向こうにいる母に会えることがとても嬉しかった。あの写真の様に素敵な人だから、いい子を愛でるのは当たり前だ。
そう今までにあったか知れぬ程の期待と想像に胸がいっぱいだった。



ー…幼く純心な子の危うさと言ったら。

一度だってその夢溢れる想像に現実が一寸でも高く期待に触れたことだなんて、無い。



「白いものは一度汚れるまでの他に後は無いんだ。」



彼女はそう言ってゆっくりと静かな息を吐きながらゆっくりと唇を閉じた

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