【歌い手】個性豊かな吸血鬼*

12【人外という呼び名】 ページ12

うらたぬきside



“人外”。それは俺ら、吸血鬼を指す言葉で、俺らを否定する呼び名。Souと外に出ようとしている人間は確かにそう思っていた。


二人が出ていったのを確認すると地下へ行き、『リッスン』という魔法で二人の会話に耳を済ます。ふいに『魔法が綺麗』そう言い出した人間。でも、俺らにとっての魔法は………



う「『インフィニティ・インパクト』！」



目の前の人間の形をした模型に放つとばきばきに折れた。そう、俺らにとって魔法は人間を狩るための汚い魔法なのだ。Souはわかっていても言わなかった。すごいな。


ばきばきに折れた模型はまた元に戻っていく。練習用の模型。基本、地下で練習することになっているため、所々へこんでいる。



「なんか音すると思ったー」



急にドアが開いていつもの聞きなれた声が無駄に広い練習場に響いてこだました。軽くそちらを向き、言葉を発した。



う「なんですか………




そらるさん。」


そ「いや？暇だからさー」


う「そうですか。魔法やります？」


そ「えぇー……疲れるじゃん」


う「そんなこと言って鈍ってもしらないですよ！！」


そ「はいはーい。……『ディフィカルト』」


う「うお！？ちょ！危ないじゃないですか！！」



そらるさんが唱えた『ディフィカルト』とは、一度かかると、動きが鈍くなり、魔法を解くにはたくさんの魔法を組み合わせなければいけない。それもまた、気まぐれによって魔法の数も違ってくるので一番めんどくさい魔法だ。


そらるさんが覚えたその日に魔法をぶちまけて、みんなでイライラしながら解いたのを覚えている。本人は「ごめんー」と寝ながら言っていた。あぁ、もう！！

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