奪い愛【銀魂】

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さっきの総悟の声色といい表情といい…気になることが多すぎる

とりあえず食事も終わって、総悟も書類を片付けるらしいし、土方さんのところに行ってみよう


｢土方さん…Aです｣

襖の前まできて、私は襖ごしに声をかけた

｢おう、はいれ｣

襖をあけてはいってみると机で書類に目を通す土方さんがいた

｢仕事…ですか？｣

｢あぁ、ちょっとそのへん座っててくれ｣

部屋をみわたしても綺麗な整った部屋、無駄がない感じ
土方さんらしいといえばそうだ

土方さんの仕事姿は外で刀をふるっているところばかりみていた所為か、座って仕事している土方さんは落ちついた大人の雰囲気をまとっていた

｢あんま、みんなよ｣

恥ずかしそうに一瞬こちらをみて放った言葉

そんなみてたかな…。

ふいっと他に目をやった

｢ちょいと休憩だ…膝…貸してくれねぇか｣

｢膝…？｣

突然言われたことに驚く

｢膝枕…だめか？｣

珍しく子犬のような目で私をみた土方さん…
そんな顔をされて断れる強者はほとんどいないのでは…

一瞬さきほどの総悟の言葉が気にかかったが、それはすぐに消える

｢いいですよ…ほら、どうぞ｣

近寄っていけば少し嬉しそうな顔をする土方さん

黙って私の膝に頭を預けた土方さんは鬼の副長…なんていう恐ろしい異名からは想像できない

｢悪く…ねぇな｣


そういった土方さんの頭を撫でていると、土方さんはいつの間にか眠っていた

気づくと私まで眠りに落ちていた









遠くから誰かが私を呼ぶ声…



｢おい、Aおきろ｣

はっとして目を覚ます
ねむってしまったのか、

｢なぁ、この首の紅いのは…一体なんなんだ？｣

土方さんが指指すのは私の首元にあるキスマーク…

昨日総悟がつけたものだ

｢そ、それは…蚊に刺されたときのやつかなぁ｣

咄嗟に嘘をつく

｢ほう…随分行儀の悪い蚊がいるこった…｣

絶対に騙されていない顔をしていた
わざと騙されたフリをしている土方さん

｢ちょっ、土方さっ…ん｣

土方さんの顔が近づいてきて首に紅い花を咲かせた
それも総悟がつけたものの上に

｢蚊に負けるなんざ腑に落ちねえからな…上書きだ上書き｣


｢上書き…｣

ニヒルな顔をしたその男

この人ってひとは…
こんな新しい表情みせられたら…もっと色々な表情がみたくなってしまう

｢蚊なんかじゃなくて、俺のものって証…｣

｢土方さんのもの……｣

私は本当の狼に気づけなかった赤ずきんってところか

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