元カノは上司を恐れない。 ページ26
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「此処が何処か分かってるかい?」
森は一応、確認してみた。
ノコノコと退職(殉職?)した会社___しかもマフィアという裏社会の頭___に訪れるAに聞いても無駄だと思ったが確認してみた。
どこまで阿呆だったか思い出し、耐性を付け直す必要があった。
「此処?そりゃ、分かるよ。ポートマフィアでしょ?」
Aは森と少年から憐れみの目を向けられる。
「……少年、一人で家に帰れるね?」
森はAをガン無視して少年に訊く。
急に訊かれた事に一瞬固まる少年だったが、まだマシな大人だと思い答えた。
「帰れます。お姉さんと歩いてきた道は覚えてますし、なんとかなります」
森はポーカーフェイスで感動した。
こんなにも阿保な成人もいれば、こんなにも礼儀正しい子どももいる。
将来はマフィアのスパイ要員として雇おうかな、と突拍子もない事を思う森。
それはちょっとやり過ぎである。
「なに、少年帰っちゃうのか!?」
脳内将棋をやっていたAは大手をかける寸前に止め、こちら側の世界に戻ってきた。
やはり、Aとこちら側の世界線は別である。
「帰るに決まってるでしょ、もう18時だよ?お母さんに怒られる」
やっぱアホなの?、と少年は云う。
いいぞ、もっとやれ、と森はニコニコ笑顔で思った。
「阿呆じゃないぞ、我は。天才ってヤツなんだぞ!」
ハッハッハッ、と腰に手をやって大笑いする。
「アホはみんなそう云うんだよ」
森と顔を合わせてから少年は辛辣になった。
もう我慢しなくていいという感情と、やはりAは阿呆なんだという感情と、年上とどうしても見れない感情が混ざってもう辛辣と化した(?)
そんな中、森は思う。
いいぞ、もっとやれ。
森も一種の阿呆なのかもれない。
否、Aと長く居たから阿呆になってしまったのかもしれない。
「リンタロウもミズハラも変なコト云ってないで、その子を帰らせてあげなさいよ」
唯一の救い。
唯一の常識人。
唯一の大人。
マフィアの裏の長、エリス。
「ありがとうございます、エリス?さん」
少年はエリスにお辞儀する。
その様子を直ぐに森は写真に収める。
「やっぱ、帰らせなくていいわよね!リンタロウ!」
重症者、そこに三人。
重傷者達に構われながら数十分過ごしたところ、苦労人帽子がやってきてAと少年を回収した。
少年は無事に家に帰れたと後に報告されたのはまた別の話。
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シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時