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ここは一体どこだろうか。


目の前の滑らかなシルクの皺に指を差し込み、ツツ、と自身の方へと滑らせる。

かなり上質なものであるのだろう。
少しの引っ掛かりはあったものの、柔らかな生地は指の間をするりと抜け、深い皺は伸ばされること無く最初と同じ形に波打った。


『こんにちは。少しよろしいでしょうか。』


顔を上げれば、目に入ったのはナパージュによる人工的な輝きを放つフルーツケーキ。
隣には、栗風味のクリームが堆く重なったモンブラン。

香ばしい狐色に焼けた鳥の丸焼きの表面で香辛料の黄色と透明な肉汁が混じり合い、ポタリポタリと磁器の上に落ちた。


テーブルクロス上に並ぶ色とりどりの料理の更に向こう側。
針金の編まれた黒い椅子に腰掛けた人間は、血のように赤い紅茶の入ったティーカップを片手に、「自分は無害ですよ」と言わんばかりに微笑んだ。



『なぁに、大したお時間は取らせません。』


──少し、質問に答えて頂くだけですから。




⠀⠀⠀

素敵なcss
狂詩曲 CSS配布
/ 彩柚様
『こんにちは、初めまして。先ずは名前を聞いてもいいでしょうか。私は貴方の名前を知りませんから。』

「よろしくね。私はエピデミッシャ・シチェドリン。貴方が崇めるべき上位存在、エピデミッシャ・シチェドリン。きちんとフルネームで覚えてね」


『そうですか、素敵なお名前ですね。因みにお名前の由来……なんていうのはありますか?』

「なんだったかな。確か私の異能に由来して、エピデミックから付けられたんだ。」


『ええっと、その由来も含め、貴方はその自分の名前が好きですか?』

「わかりやすいって大事だろう?私を分かりやすく表していて素晴らしい名前だ。それに、長い名前ってかっこいいだろう。私に最も似合う最も素晴らしい名前だね。」


『ふふ、名前は家族からの最初の贈り物ですからね、大切にしなければいけませんよ。ところで、御家族との仲は良い方ですか?それとも悪い方?』

「家族、家族か。正直余り記憶がなくてね。然し、私の家族がどんな存在であれ私を産んだ時点で世界から賞賛されるべき存在だと私は思うよ。」


『まぁ別に貴方の家庭事情にそこまで興味はありませんが……所詮は他人ですからね。ああ、すみません、そこのアップルパイを取っては頂けませんか?良ければ貴方もどうぞ。』

「私にとっては物を取るくらい容易い事だ。はい、受け取るといい。そして是非感謝し、畏怖するといい。崇拝はまだいいよ。だって私の素晴らしさの一片もまだ見せられていないからね。私に供え物かな?是非頂こう。」


『ン゙ン゙ッ、それでは再開しましょう。ええっと、貴方のTOHを教えてくれませんか?何、漏らしたりはしませんよ。』

「異能という言葉から分かる通り、いや、見た目からわかる通り私は二型だよ。まあ見た目だけだと零型の可能性もあるか。」


『ほうほう……。では貴方自身、己のTOHについてどう思っていますか?』

「異能というのは素晴らしいね。私は自らのTOHを別に誇りに思っていないけれど、他の二型達は私の同じTOHであることを誇るべきだね。そして過去の二型たちは私と同じTOHに敗北と言う汚点を付けたことを懺悔し恥じるべきだ。」


『なら逆に、他のTOHについてはどうですか?』

「他、か。やはり造られた存在だと言う零型には浪漫を感じるよね。格好いいじゃない、人造人間。一型は……仮にも私と同じく分類される二型に敗北と言う汚点を付けた点は永遠に誇るべきだね」


『なるほどなるほど。因みに所属する組織名は?』

「神の御柱一柱目。覚えておくといい。」


『関係の無い話にはなりますが、過去にTOH一型と二型の戦争を引き起こす引き金となった事件についてはご存知ですか?』

「ああ、勿論その当時生きていて其の事を覚えていないものは居ないだろう。赤ん坊でも覚えているのでは無いかな?」


『では、その事件を起こした人間についてはどうお思いでしょうか。』

「愚か者だ。大きな街を滅ぼすくらい、私も出来るとも。まあ、私は人間が絶滅したり崇拝を超えた憎悪を感じられても困るから、しないけれど。するとしても、一人で一型全員相手できないのであればやるべきではなかったね。」


『…………そう。まぁ気を取り直して次に行きましょう!ズバリ、今現在好いているお方はいらっしゃいますか?』

「私は私の崇拝者皆愛しているとも」


『ほほう、ではもしや恋人が……?』

「居ないよ。だって私は神の御柱だからね。神だよ?然し、立場や理性を超えた愛というのも、また浪漫だね。」


『それでは友人関係の方は?Loveでは無く、Likeの方ですよ。犬猿の仲でも構いませんが。』

「居ないとも。私と対等の立場のものなんて居ない。居るとしてもきっとそれは世界の創造神か何かだ。私から博愛以上のものが欲しいなら……後は自分で考えてくれ」


『うーん、少しずつ貴方の事が分かってきたような気がします。あ、そういえば、お酒は飲まれますか?』

「飲むよ。ワインボトルかウイスキーボトル、どちらが似合うか聞かせてくれるかな?」


『では、お酒は強い方ですか?』

「私の異能で強化してるとか言われることもあるけど、私は素で強いよ。」


『そういえば、ポラシャスニカは酒の国と呼ばれる程お酒の種類が多いそうですね。やはり寒いからでしょうか……。貴方の出身地はどこですか?』

「丁度、ポラシャスニカだね。私は大丈夫だけれど、人間は寒さが苦手だろう?身体を愉しく温めるためにお酒は最適なんだ。然し、嗜むから一線を超えると、健康な肉体が蝕まれていく結果になるだろう。」


『えー、突然ですがここでクイズです。ここは一体どこでしょう。別に答えられなくても良いですよ。』

「答えないなんてことはしないよ。お茶会の場所。そうここはお茶会の場所だ。国はモニティのお茶会場だ。私がそう言ったから、ここはそうなんだ。然し、このような場所に情報は[私がいる場所]しかいらないだろう?」


『うふふ、分からなくても無理はありません。──あ、貴方。そういえば何も食べていませんね。』

「アップルパイは頂いただろう?神の食事を目の前で見たかったかな?」


『好きな食べ物等はありますか?飲み物でも食べ物でも、お好きなものを。』

「和菓子かな。胃に入ればなんでも同じと言う人もいるけれど、あの造形の華美さには浪漫を感じるよ。そして、和菓子を食べる私は[畏怖]を通り越して[可愛い]かったよ。改めて私はかっこいいも畏ろしいも可愛いも強いもなんでも担当できる万能神だね」


『それでは直ぐに用意させましょう。確か、"腹が減っては戦はできぬ"でしたっけ?翡翠の言葉ですね。……貴方は好きな言葉とかってありますか?』

「うーん、やはり美しい言葉は沢山あれど、一番はやはり[エピデミッシャ・シチェドリン]かな。貴方はもう知っていたね。ありがとう。」


『貴方は自分の容姿に自信がありますか?全然「自信あり!」と答えて頂いても構わないですよ。』

「当然のことだけれど、私は可愛く、美しく、儚く、かっこよく、セクシーで、畏ろしいとも」


『では、ご自分で思うチャームポイントは?』

「うーん、私には素敵なところしかないから一つを言葉にするのは難しいけれど、ポジティブなのは私のいいところだよ」


『ああ、一日の睡眠時間はどれくらいでしょうか?──答えによっては、後の質問数も変わるかもしれませんね。』

「寝なくても大丈夫だからそこまで睡眠には気を使っていないかな」


『そうですか……あ、先程頼んだ物が来ましたよ。ナプキンはそちらにありますから、ご自由にお使いください。』

「貴方の気遣いに感謝するよ。私は私を侮る人が嫌いだからね」


『小さい頃、貴方は一体どういう子供でしたか?覚えている限りで良いですよ。』

「畏れのために破壊と滅殺の限りを尽くしていたかな。今では立派な神の御柱だよ」


『小さい頃嫌いだったけれど今は克服した物、もしくは好きになったものとかはありますか?』

「小さい頃は好き嫌いなどは意識していなかったかな」


『では逆に、小さい頃好きだったけれど今では苦手になった物はありますか?』

「獣かな。とくに害獣だね。今の私は畏れより崇拝をとるから、獣は野性的な恐怖を感じることはあっても何かを崇めることは出来ないからね」


『好みっていうのは常に変化するものですからね。そうだ、好きな異性のタイプとかってありますか?ここは絶対外せない!とか。』

「誰かと性的な関係を持つことは今後一切無い予定だよ。しかし、私の恋人にするなら、私と同じくらい強い人、かな」


『ズバリ、結婚願望等は?』

「全くないかな。私は子孫を残す必要も無いしね」


『すみません、少々踏み込みすぎましたね……。そういえば、すまほ、持っていますか?』

「ああ、持っているよ。現代の進歩は大好きだからね。楽しいことやできることが増えていくっていいよね」


『いやぁ便利ですよねぇ、すまほ。貴方は電子機器の扱いは得意な方ですか?それとも苦手?』

「得意な方かな。私は何でもできるからね」


『私、機械類はてんでダメなんです。ぱそこんなんて一瞬で壊しちゃって。すまほも水没させちゃいました。貴方も何かドジっ子エピソードとかってありますか?』

「うーん、私はなんでも出来るからな。性別を聞かれた時に間違えて女って答えちゃったことかな。普段性別を意識することがないからね」


『じゃあ逆に何かミラクルな出来事とか。』

「私にかかれば奇跡なんて日常茶飯事で起こせるからね。うーん、私を畏れ嫌っていた人が一日一緒に居るだけで私の崇拝者になったことかな。愛憎は紙一重なんだろうね」


35『失礼も承知ですが、御友人等はいらっしゃいますか?また、御友人は何をされている方ですか?』

「友人は居ないかな。崇拝者なら沢山いるとも」


『友人関係は広く浅く派?狭く深く派?』

「友人関係をそもそも作ろうとは思わないけれど、誰か一人に入れ込むなんてしないとも」


『自分の性格を明るいと思いますか?それとも暗い?』

「私って明るいだろう?え?そう思わないかな?はは」


『貴方の性格を一言で表してみて下さい。』

「完壁、だよ」


『御友人で無くても良いですが、心を許せる方というのはいらっしゃいますか?』

「私は皆に心を許しているとも。私を侮って間違った接し方をしてこない限りはね」


『心の安息所というのはやはり作っておくと良いですよ。誰にも心を開けないのは苦しいだけですから。……貴方も何か秘密とか、ありますか?』

「秘密?こんなにも完璧な私のどこを隠せばいい?」


『そうだ、何かひとつ願いが叶うなら何を願いますか?』

「寧ろ貴方の願いを叶えてあげようか?私は天に願わないよ。願うまでもないからね」


『セカイから自分以外のTOHの人間が消えるボタンがあったら、押しますか?』

「押さないよ。みんないる方が楽しいからね。もちろん私は完壁だから一人でも楽しんで生きていけるけど」


『大嫌いな人を殺せる機会があれば、殺しますか?』

「大嫌いな人がいないから分からないな。しかし確かに私を侮ってくるような輩には直ぐに異能を使っているかな」


『貴方は心から憎いと思った事がありますか?その人間は今何をしているか分かりますか?』

「無いね。そして今後も私は誰かに憎しみを抱くことなどないだろう」


45『貴方は今、昔より自由であると感じますか?』

「今も昔も、私は常に何にも囚われず自由だとも。」


『貴方は"呪い"についてどう考えていますか?』

「自らの意思で憎しみを覚えるならまだしも、違う人間の感情を勝手に受け継がされるのは迷惑だろうと思うよ。実際のところどうなんだろうね?私が聞いてみたいかも」


『貴方は他のTOHになってみたいですか?』

「一日だけなら体験してみてもいいかな。何事も経験だからね」


『貴方は己を優しい人間であると考えますか?』

「勿論、私は慈しいよ。慈しさよりも私を優先するけどね」


『貴方は貴方の事が、このセカイの全てが、好きですか?』

「ああ、大好きだとも。私は私そのものが大好きだ。そして私が存在するこの世界は素晴らしいよ」




『貴方は、私を、恨みますか。』

「(私は誰かを恨むことは無いよ。覚えておくといい)」




口に運んでいた食べ物から急激に味が消え失せ、ぐらりと視界が揺れる。
最後に見えたのは、悲しそうに笑う──


.

なぞっていたテーブルクロスは、石鹸の香りがする真っ白なシーツへと早変わり。
辺りに漂っていた甘い薔薇の匂いはいつの間にやら少し埃っぽい、良く言えば普通の部屋の香りへと変化していた。


──ここは、自分の部屋だ。


軋む寝具からのそりと起き上がる。

夢の内容は、既に覚えていなかった。

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作者名:てんけ | 作成日時:2023年9月12日 19時

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