【鬼滅の刃】 来世で、また。

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...。oо○ 鬼滅の刃【小説コンクール用】○оo。...

胡蝶しのぶ × 冨岡義勇

『もしも～し。…冨岡さん?』

『胡蝶。』

―――――――――――

　こんにちはこんばんは、ケイです。

　鬼滅の刃、初チャレンジです。

　宜しくデス☆((

※素敵なCSSは、ふぇーるる様より君に近づきたくて【CSS配布】をお借り致しました。ありがとうございました。

　追伸

　評価＆コメントありがとうございます。

　温かい言葉を頂き、非常に嬉しく思います。

　これからも何卒宜しくです。

　あ、それと80hitありがとうございます。

　感謝この上ありません。

*

　「…冨岡さん？どうしたんですか、ぼーっと遠くを見つめちゃって。らしくないですよ～。」

　「…何でもない。」

　貴方はそれしか言えないのですか？

　もう、本当に素直じゃないですね。

　無表情不愛想のくせして、整った顔立ちと周りに引けを取らぬ紳士な対応。

　昔からそうでした。

　だからズルいんですよ。

　素っ気ないなら素っ気ないままでいてくださいよ。

　どうしてそう、期待させるんでしょう。

　淡い期待なんて、させないでくださいよ。

　鬼狩りにそんな感情必要ないのに。

　気付いたら、貴方には隣に居てほしい存在になってました。

　ずっと、貴方の傍で、寄り添ってあげられる人になりたかった。

　でもこれが最後になるんですよ。冨岡さん。

　私は長年の責務を終える。鬼への怒りと憎しみと、殺す理由がなくなる。

　全て分かってました。

　私は明日には還らぬ人となるでしょう。

　そのために今まで、藤の花を体に蓄え続けてきた。

　私が鬼に勝てる方法はこれしか思いつきませんから。

　冨岡さん。冨岡さん。

　心の中で言っておきたいことがあります。

　ずっと、貴方しか見てませんでしたよ。

　貴方はどの柱からも嫌われていたのは事実ですが。

　私は貴方の優しさを知っていました。

　絶対に、貴方には言いません。

　『好きでした』なんて。

　言いませんから。

　だって別れが辛くなる。

　死にたくないと思ってしまうじゃありませんか。

　視界に入れただけでこんなにも苦しいのに。

　ダメですね。

　死を間近にした人が、死にたくないなんて。

　叶うわけないのに。

・

・

・

・

　「あ～冨岡さん。こんばんは。」

　「…。」

　「無視ですか？つれないですね。冨岡節が順調なようで何よりですけど。」

　冨岡さん。何か喋って下さい。

　死ぬ前に貴方とたくさんお話がしたい。

　何度も貴方の名前を呼んでおきたい。

　「そう言えば。竈戸君は全集中の呼吸、上手く使えるようになって本来の力を発揮できるようになったんですね。お館様から伺いましたよ。」

　「…炭治郎は呑み込みが早いからな。」

　あぁ。またですか。

　あの子の事となるとちゃんと答えてくれるのに。

　私の事はどうでも良しですか？

　最期なのに寂しいですね。

　「…明日は、鬼狩り最期の日になりそうです。」

　そう言って笑うと、そうかと空を見上げる貴方。

　そうですよ。

　―――私の最期の日です。

　鬼の食糧と課して、体に行き渡った毒で念願の鬼を殺せる。

　私の望みが叶う。

　それでもやはり心残りなのは…

　貴方の姿を、見れない事だけですね。

　「…冨岡さん。困った事でもあるんですか？」

　「何故だ。」

　「いやぁだって冨岡さん最近、凄く元気ないじゃないですか。良ければお薬差し上げますよ？」

　「…俺は元気だ。」

　「あらあら冨岡名言・『俺は嫌われていない』のバージョン替えですか？」

　分かりますか？

　最後まで貴方の名前を呼んでおきたい、この気持ち。

　だって死の世界へ行っても忘れたくありませんからね。

　『冨岡義勇』。

　絶対に忘れたくありません。

　「…では。明日に備えて早めに寝ましょうか。」

　パッと立ち上がって、もう一度綺麗な空を見上げる。

　これが私が見る、最後の夜空なのですね。

　最後に相応しいです。

　「じゃあ、おやすみなさい。」

　そう立ち上がった時。

　あれほどまでに微動だにしなかった貴方が動いた。

　「…冨岡さん。どうかしたのですか？いきなり腕なんか掴んで。」

　そしたら。

　「…いつもの元気がないように聞こえたから。」

　何も言わなかった貴方が。

　感情を見せなかった貴方が。

　今、初めて、私を気遣ってくれましたね。

　嬉しい。嬉しい。

　泣きたかった。

・

　でも。

・

　泣くなんて私らしくないじゃないですか。

　貴方と最後の日に泣くなんて嫌じゃないですか。

　だから泣きませんよ。

　「あはは、冨岡さんたら、耳が遠くなったんじゃありません？私は元気ですよ～。ほら！」

　元気元気！と腕を上げて見せる。

　冨岡さん。

　もう少し早ければ良かったのに。

　もう少し早くに、私を気遣ってくれていたら、本音を吐露できたかもしれません。

　過去の空想のお話ですけど。

・

　「そう、か。」

・

　力なく離した彼の腕を、私がもう一度掴んだ。

　少し力を入れて、握手をする。

　大きな、手。

　「頑張りましょうねお互い。任務。」

　「…そうだな。」

　パッと離した時、少し切なく感じましたよ冨岡さん。

　貴方は微塵もそんな事思ってないでしょうけど。

　「おやすみなさい。」

　「あぁ。」

　背を向けた時、一粒だけ…貴方のために涙を流しました。

・

・

　命が消えかけた時。

　きっと一番に貴方の事を思い浮かべるでしょう。

　吸収されていく中で、私は何度も貴方を呼びました。

　冨岡さん、冨岡さん。

　…義勇さん。

　頑張って、下さいね。

　最後まで、あの子を、皆を守ってあげて下さい。

　『もし、もし…冨、岡さん…』

・

・

　『貴方が、好き、でした。』

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　「冨岡さん。こんばんは。」

　「あらあら。竃戸君と今日も鍛錬ですか？頑張って下さいね。」

　無口だと、不愛想だと言われた俺にしつこく話しかけてくれた。

　出会った時は魂が抜けたような表情をしていたのに。

　空っぽの中身のない笑顔ばかり見せていたかと思えば、心からの笑顔を見せて。

　隙だらけの女だった。

　だが。

　何故か目が離せなかった。

　どれだけ突き放しても…絶対に話しかけてくるし。

　この感情が何なのか。

　親と友達を殺された俺に分かるはずもなかった。

　分かろうともしなかった。

　鬼狩りの俺にそんなの気にする余裕はない。

　今の俺がやらないといけないのは―――

　鬼を斬る。それのみだ。

・

・

　だが、たまに思うのだ。

　『何故、俺は鬼を斬っているのか』。

　大事な人を鬼に殺されたから。

　至ってごく普通の考えだ。

　俺は気付けなかった。

　自分に大事な存在がいるという事。

　守るため、救うため、鬼を斬り続けているという事。

　自分で自分の気持ちに気付けなかったのだ。

・

・

・

・

・

　「あ～冨岡さん。こんばんは。」

　「…。」

　「無視ですか？つれないですね。冨岡節が順調なようで何よりですけど。」

　ある夜の晩、胡蝶がそう話しかけてきた。

　これまた、突然だ。

　いつものように軽く無視をすると、変な返答が返ってきた。

　冨岡節…。

　知らないうちに変な節をつけられたものである。

　「そう言えば。竈戸君は全集中の呼吸、上手く使えるようになって本来の力を発揮できるようになったんですね。お館様から伺いましたよ。」

　「…炭治郎は呑み込みが早いからな。」

　そう返した時、なんとなく彼女の元気がないように感じた。

　俺は無駄な会話をしなかった。

　会話は無駄だと思っていた。

　だが、彼女と会って…会話は人を繋ぐのだと、改めて気付いた。

　彼女が立ち上がった瞬間、無意識に彼女の腕を掴んでいた。

　「…いつもの元気がないように聞こえたから。」

　そう返した時、彼女の瞳が大きく見開いた気がする。

　一瞬、いつも強く見せていた体が、あの頃の何も出来なかった胡蝶に戻った気がした。

　…ほんの、一瞬だったが。

　「あはは、冨岡さんたら、耳が遠くなったんじゃありません？私は元気ですよ～。ほら！」

　そう笑う彼女に、なんら弱い姿は見えなかった。

・

・

・

・

・

　まだまだ弱いと思っていた、俺はどうも間違っていたらしい。

　それでも近くで支えてやりたかった。

　そして、この時、俺は自覚した。

　認めたくはなかった。

　今も覚えている。

　『頑張りましょうねお互い。任務。』

　そう言った彼女の声。

　小さな手で握ったあの温かさ。

　俺は今でも忘れられない。

・

・

・

・

・

・

　彼女が死んだと。

　鴉にそう聞かされた時、圧倒的虚無感に襲われた。

　突然の事で悲しみも辛さも、鬼に対する嫌悪感もない。

　―――ただただ、心にポッカリと大きな穴が開いたような喪失感に包まれていた。

　その後に襲ったのは、途方もない怒り。

　どこから来るものなのか、よく分からない。

　怒りを、ぶつけろ。

　ありのままに、怒りを、力(パワー)に変えろ。

　その言葉が頭の中で渦を巻いた。

・

・

・

・

・

・

　胡蝶。

　お前は言っていたな。

　『そんなだから嫌われちゃうんですよ。』

　俺は嫌われているのか、いないのか…

　果たして定かではない。

　まぁどちらでも構わないが。

・

・

・

・

・

・

　だが、一つお前に言いたいことがあった。

　たった今分かった事。

　他の誰からも嫌われていい。

　少々勇気がいるだけだ。

・

・

・

・

・

・

・

　胡蝶。

　俺は、

　――――――確かに、お前に好意を、抱いていたんだ。

・

・

・

・

・

・

・

・

　『胡蝶。』

・

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・

・

・

・

・

　『好き、だった。』

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・

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・

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―――――――――――

・

　運命が憎いです。

・

　こんな目に逢わせた運命が憎い。

・

・

　でも。

・

　だが。

・

・

　来世では貴方に逢えますか？

・

　未来ではお前に逢えるだろうか。

・

・

　もし私を見かけたら。

・

　もし俺を見つけたら。

・

・

・

・

・

・

・

・

　もう一度、貴方を好きになりたい。

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