【九条天】たんじょうび【アイナナ】

九条天



彼は今、人気絶頂アイドルグループ『TRIGGER』のセンターである。



それ故に多忙の毎日




そんな彼の貴重な休日を


今回は、私だけが独占する




｢九条さん家って綺麗で落ち着くよね｣

｢そうだね、気を使ってるからね｣

｢て、天にぃ｣

｢なに？｣

｢誕生日、おめでとう！｣

そう今日は7月9日、天にぃの誕生日だ



｢＿＿てっきり、忘れてるのかと思った｣


天にぃの意外な一言に少し驚く



でもそれって…





｢私が忘れっぽいってこと?!｣


｢ふふ、どうだろうね。｣


｢も〜!!!｣


｢でも、ありがとう。覚えて、祝ってくれて｣


さっきのからかう笑みとは違う、柔らかくて、大好きな天にぃの笑顔。


直視すると眩しいくらいその笑顔は私にとって反則的である



｢うん……あっプレゼント！｣


｢へぇ、用意してくれたんだ｣


｢もちろんだよ！待ってね…はい！｣


｢ありがとう。……これ、キャップ？｣


｢今の帽子ダサいから｣


｢ふ ざ け て る の ？｣

さっきの笑顔とはうってかわって目が笑ってない
正直怖い



｢せ、正論だよ！でもこれは前菜的なものに過ぎないというか！メインはあるから！後ろ向いて！｣

｢？｣


これが天にぃに1番に似合うと思って、思わず買ったもの



｢綺麗なネックレスだね｣


｢天にぃに1番似合うと思ったし……ネックレスは……｣


｢ネックレスは？｣


｢私のものっていう、首輪の意味だから｣

ダメだ、恥ずかしさに比例して頬が熱くなる


｢ふふ、じゃあいつまでもYOUのものでいようかな｣


｢うん、そうして下さい…｣

なんだか嬉しいけど照れくさい




｢ところで、｣


｢？｣


｢前菜、メインと来たら最後はデザートだよね？｣


｢え"…天にぃは何がいい？｣

ものの例えとして使った言葉だからここまで考えていなかった



｢そうだなぁ…あ、｣


｢なに？｣




｢最後は＿＿＿＿YOUがいいな？｣


｢え？｣


｢それが1番欲しい｣

少し悩んでみる、天にぃが1番欲しいものは私。
今にも頭がショートしそうなくらい恥ずかしい



｢……いいよ｣


｢え、ほんとに？｣


｢天にぃの誕生日だからね…｣



恥ずかしいけど、愛する人の頼みだ。
断るわけにもいかない
そして、満更でもない自分がいる



｢YOU、ありがとう…今日は最高の日だな｣


今日、彼からありがとうと聞いたのは何度目だろうか



そしてこんな彼の笑顔を見るのも何度目だろうか



この2つを感じる度にとても幸せだと実感し、嬉しくなる





｢そうでなくちゃ困るよ！それじゃ、改めて！｣








"誕生日おめでとう、天にぃ"